2009-01-01から1年間の記事一覧

2009年ベスト10

アンナと過ごした4日間 ロルナの祈り レスラー グラン・トリノ スラムドック$ミリオネア 幸せはシャンソニア劇場から ウォッチメン ベンジャミン・バトン 数奇な人生 ダイアナの選択 チェ28歳の革命 本当にベスト10なんて決める必要があるのか、意味がある…

アバター 3D

未来の映画だ。これは、凄い。飛び出して見える物体に、思わず身体をよけてしまう。浮遊し漂う生き物が、この手で触れそうだ。 こんな映画は、夢の先だと思っていたが現実に目の前にあり驚きに震えている。 アトラクションではなく、物語られる映画の新次元…

倫敦から来た男

夜の海、モノクロームの画面が水面の位置からゆっくりと、しかし、着実にカメラを上に移動して行く。 船を真っ正面から捉えたまま、その先端まで行くと甲板が一望できるようになり二人の男のシルエットが何やら秘密めいたやり取りとしている。カメラの視線が…

脳内ニューヨーク

あれれ、なんだか妙であまりにも変で複雑に感じてしまうが、この映画ってやっぱり凄いのかも。 舞台劇作家が、人生後半に差し掛かり自分の人生をあてどなく続く芝居に造り上げていくのだが虚実がもう混乱してどう言っていいものやら。でも、映画を観てると何…

イングロリアス・バスターズ

タランティーノは、俗にいう良い映画を撮りたいとかウケル映画を作りたいとか全然考えていないな、やっぱり。自らの映画的美学を貫く事が最優先なのだ。その辺、映画界会社も心得ていてやりたいようにやらせている。 ブラビが出ようが、歴史的タブーがどうの…

アンナと過ごした4日間

病院の下働きをする男、見るからに陰気で暗くて不気味。今にも何か仕出かすのか、わからない怖さを漂わせる彼をカメラは執拗に追って行く。絶対ヤバいよ、こいつは今に、それとも過去にむごたらしい殺人とか犯しているかのように、疑心暗鬼を沸き立たせて緊…

ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ

女が知らない男の不思議と、男が知らない女の不思議。誰もが知らない男と女の夫婦の事。 昭和の初め、戦後混乱の東京を舞台に太宰文学を果敢に映画にしようと試みている。太宰を好んで読んだ訳でないので、原作との対比は置いといても昭和生まれで育ちには、…

SOUL RED 松田優作

久しぶりですね、優作。と、言いたくなるドキュメンタリー。亡くなったのは理解しているが、まだどこか近くにいるような、でも近しいと言うのでなく圧倒的な存在感で僕たちの目の前に立ち続けている気がする。 ブラックレインのオーディション、セリフテスト…

ドゥームズデイ

いまさら、驚きのマッドマックス風な映画だ。この監督、マッドマックスが好きだったんだろうな。殺人ウィルスが蔓延して、イングランド国土の半分を閉鎖、隔離したあげくにその中に救いのワクチンがある筈とヒロインの戦士が、特殊部隊引き連れて潜入して行…

正義の行方〜I.C.E. 特別捜査官〜

ハリソンフォードは、悩み苦しんでいた。『ブレードランナー』のレッカード元刑事のように、答えのない疑問と目の前の犯人を始末する事の狭間に身を置いて。今回は、刑事ではなく入国管理局の捜査官で、アメリカへの不法入国者を摘発し国外退去させる。すで…

リミッツ・コントロール

謎めいた暗殺を請け負った、黒人の男。次々に現れる、怪しげな人物。やり取りされる同じ図柄の色違いのマッチ箱。その中に小さく折り畳まれた暗号を一瞥するなり口に含み、エスプレッソで流し込む。 裸の女、全身が白いブロンドの女、日本人の女(工藤夕貴)…

カムイ外伝

何とも、色んなものが全て機能していなかった。一つ一つ要素が極端に良くないのでなく、複合的に合わさっていい方向に一つも向かっていなかった。 ナレーションの山崎勉がいいし、松山ケンイチ、小雪、小林薫、悪役に佐藤浩市など、役者陣もそれなりに役には…

幸せはシャンソニア劇場から

シャンソンって上品にお高くとまった感じで、ちょっと嫌だなと思っていたが、全く間違っていた。ごく普通の大衆の人々が、普段から思っている何気ない正直な気持ちを歌詞にして歌っている。 世界大戦前で世界恐慌の余波の不穏な空気の時代、パリの郊外、下町…

ウルヴァリン X-MEN ZERO

ミュータントとは、突然変異体と捉えるよりも精神的な意味合いも含めた、アウトサイダー的なはずれものと解釈していて、勘違いだったのだろうか。人気のシリーズになった、ミュータント映画『X-MEN』を観ると、ぞろぞろとミュータントが集結してなんだか、自…

湖のほとりで

この所の疲れが出て来たのか、始まってとたんに睡魔に襲われた。 静かで牧歌的な北イタリアの雪を頂いた山々も見える麓の小さな村で、起こった殺人事件。17歳の美しい女性がきれいな湖のほとりで抵抗した痕跡もないまま全裸の上に青い上着を掛けられた姿で発…

96時間

主演のリーアム・ニーソンは、ご存知ジェダイ・マスターだ。 もちろん、スター・ウォーズの役の中でだが、彼はずいぶんいろんな役を演じて来た。その中でも印象深いのが『ダークマン』で、優秀な科学者が火傷で顔面の皮膚をなくしたが、研究成果の人工皮膚や…

セントアンナの奇跡

スパイクリー監督が、初めて戦争映画を撮った。黒人の視点を徹底的に追求して来た監督だけに、期待を裏切らないばかりかそれ以上だった。 この監督らしくニューヨークから始まった殺人事件から、時代は第二次大戦、イタリアのドイツ軍によるセントアンナの大…

ノウイング

「未知との遭遇」系列の、正当なるサイエンス・フィクションだと思った。 当時「未知との遭遇」は、スピルバーグによって地球外知的生命の存在に真っ正面から取り組み、際物のUFOを科学的なデータを元にしながらの謳い文句でまんまと観客を術中にはめて、上…

扉をたたく人

扉をたたく人、太鼓をたたく人、心をたたく映画・・・ 久しぶりに、日本語タイトルに誘われた。予告編でも地味な印象しかなかったが、どこかをたたかれて反応したのだろう、観る事にした。 主人公は、妻に先立たれ仕事にも意欲をなくした初老の大学教授。こ…

人生に乾杯!

きみまろトーク・ライブの様相で、夏の暑い中、シニアの人々が映画館に押し掛けていた。馴染みのない東欧の小さな国、ハンガリー映画。それも、81歳のおじいちゃんが、困窮極まった年金生活を打破するために拳銃をブッ放し銀行強盗をする話。当然のごとく今…

映画を観ると得をする

池波正太郎 著 新潮文庫映画ファンに、勇気と力をくれる本がある。本のタイトルはなんともベタだし、作家・池波正太郎と映画は、イメージが繋がらないよね。「鬼平犯科帳」などの時代もの作家で、食通で粋の人だとは知っていたが、小説を読んだ事もなかった…

ディア・ドクター

映画の始まりに流れたのが、ブルースだった。 ガラスの筒状のものを指にさし、アコーステックギターのフレッドからフレットに流れるように音を出すボトルネックの演奏。音と音の間の半音よりももっと細かく微妙な音が入ってこそ、よりブルースらしい奥深い音…

劔岳 点の記

山が主役の映画だった。 そんな山々に抱かれた、明治の人々を描く事で 日本人とはこうだ、これこそ日本人だと言い切る 力強い、映画だった。 名誉のためでも、報酬でもなく、自らの仕事に誇りを持って 当時、最後の地図の空白を埋めるために険しく困難な一帯…

マン・オン・ワイヤー

やり遂げた時に、アメリカ人達は なぜ、何故、Why、Why・・・ と、実利的にそればかりを聞いてくる。 理由がないからこそ、素晴らしいのに。 1974年、ニューヨーク。ワールド・トレード・センターのツインタワーに 鉄鋼のワイヤーを渡して、その上を渡ったフ…

ガマの油

役所広司監督、あなたの映画はするりと 心の中に入ってきましたよ。僕より少し先輩ですが 日本の若おじさん世代の考えている所として、身近に感じました。 死生観もどこか吹っ切れて明るく受けとめていて 考え込みがちになる所を、ぐいっと引っ張って気楽に…

レスラー

アメリカ初の黒人大統領が誕生してから 世の中がチェンジ、チェンジの風潮になりつつも 変われない男の物語。 かつてのスター・プロレスラーが 20年経ってぼろぼろになった行く末のお話。 本場であるアメリカ人でさえ、自らファンだと言わないくらい 一般の…

ラスト・ブラッド

うぅ〜む、主演の韓国人女優チョン・ジヒョンと小雪 この二人だったから、良しとするか・・・でも もうちょっとなんだよ、これでは物足りない。 女子高生ルックスのサヤの日本刀アクションは見せてくれるのだけれど オニゲンと呼ばれる、バンパイヤが弱いの…

スター・トレック

地方で育ったため、小学生の頃にやっとテレビが我が家に来ても 受像出来る放送局も、NHKと地方の民放の2つだけだった。 シリーズ当初の「宇宙大作戦』も観た事がなかったのに なんの懸賞だったか忘れてしまったが 当選してプラモデルを送られて来た事があり…

チェイサー

サスペンスタッチの事件ものでありながら 韓国映画は、一筋縄では行かない。 猟奇殺人事件は、あからさまなホラーとは違う薄気味悪さがあり 東洋独特の特に韓国的と言えば、語弊あるかもしれないが お隣同士ではありながら決定的に日本とは違う陰湿なやり切…

チョコレート・ファイター

まがい物でない、真っ正面のアクションを信条とするのであるなら もうすこしその物語もしっかりと練り上げてほしい。 日本公開仕様に出演の阿部寛のナレーションが入って取っ付きは良い。 やくざの阿部チャンが、タイに進出し地元と敵対しながらも 凄腕(?…