2014-01-01から1ヶ月間の記事一覧

オンリー・ゴッド

これほどにまで、全体をそぎ落としている映画もあまりないのではないでしょうか。そして、シェイプアップされた映画は鋭利になり、見る人間をまるで突き刺すようでした。兄を殺された弟とその母の復讐劇で、対するのが舞台になっているタイのバンコク警察権…

エレニの帰郷

回顧上映で、過去の旧4作品を見た後の流れですんなり観れるかと思いましたが、テオ・アンゲロプロス監督のこの遺作を観てやっぱり難しい映画だと思いました。東欧州の歴史的なこともさることながら、身近に国境や大国の圧力や進攻に恐怖する感覚に自分があ…

新年『大はし』『カブト』飲み始め

今年も、月に一度くらいはお気に入りの北千住『大はし』と新宿・思い出横丁の『カブト』で飲みたいものだと、新年も早々に連日で二つの店の飲み始めをした。昨年もそうだったが、年末年始で忙しかった裏返しで一月は仕事の切れ目ができる時期だった。稼ぎは…

ROOM 237

伝説の恐怖映画『シャイニング』は、1980年に今は亡きスタンリー・キューブリック監督の作品です。今をなお人々が魅入られてしまう『シャイニング』の“深読み大会”的なドキュメント映画の『ROOM 237』は、5人のキューブリック研究家の大胆な分析を語ります…

永遠と一日

北ギリシャの港町で、病のため自分の命も残す所わずかと悟った詩人であり作家の、最後の一日を綴った映画です。想いは、すでに亡くなった妻のことや、娘が生まれたばかりのこと、少年時代の友との冒険にと自分の人生の最良の時をめぐります。ひとりの難民の…

蜂の旅人

悲劇ではなく、悲哀に満ちた初老の男が、娘の結婚を機に教師の職と家庭をすてて旅に出ます。父から受け継いだ養蜂の仕事で、まだ冬の気配が残る北イタリアから南へ花の咲く春を求めてトラックを走らせます。テオ・アンゲロプロス監督が、こんなパーソナルな…

ユリシーズの瞳

変な言い方になりますが、ハーヴェイ・カイテルが主演していることでテオ・アンゲロプロス監督の映画が、エンターテインメントになっていると思いました。アメリカ映画の中でも個性的な俳優であるハーヴェイ・カイテルが、ギリシャ系の映画監督Aに扮し、この…

エレニの旅

昨年、撮影中に事故で亡くなったテオ・アンゲロプロス監督の遺作の公開前に、代表作の回顧上映されました。没後すぐの特集上映で『旅芸人の記録』だけは、なんとか昨年に観たのですが遺された傑作10本を一挙上映されるチャンスを全部は無理としても、逃すこ…

うつぼにまみれて、年始は南紀から

あけましておめでとうございます。 遅ればせながら、年始の南紀の話で、これはひとり飲みではない。正月の帰省の際、恒例となった紀伊・田辺、白浜温泉の一泊新年飲み食い旅行で、母とかみさんと3人でもうかれこれ7年も続けている(ひとたび、気に入ってし…

完全無欠の『大阪・寄り道、酒』

年末、早々にブログの最終アップをすませ、たっぷりと年末年始の休暇をふるさとで楽しんできた。その報告もしなくてはと思うが、実のところこの数年は基本的に同じことを繰り返している。 大阪で寄り道をして飲み、地元の和歌山で飲み、最後に和歌山県も南下…

リヴ&イングマール ある愛の風景

昨年、イングマール・ベルイマン3大傑作選『第七の封印』『野いちご』『処女の泉』を観ました。北欧の世界的巨匠と言われた、監督の作品に衝撃を受けました。この監督の映画にも出演した女優であり映画界、演劇界で永く活躍し監督とも5年間一緒に暮らしたリ…

鑑定士と顔のない依頼人

日本では、大半が熟年のおばさん達で人気のこの映画、昨年、観そこねて今年の初映画となりました。女性にとっては「男は馬鹿よね、でも、そこが可愛い」とかなんとかで、人気なのかなと想像しますが、男にとっても「男は、そこまで、馬鹿になれるのさ」と、…