映画

再び、映画小僧の挫折。

映画を観た本数にすれば、今年は、例年以上にたくさんの映画を観ました。 けれど、昨年同様に感想をアップすることに年の中頃で、挫折しました。 書けなかった、書く時間を持てなかったことに対して、何も申し開きできません。 ごめんなさい。 ブログの体を…

マイ・プライベート・アイダホ

リバー・フェニックスの遺作『ダーク・ブラッド』公開記念で、上映された本作は、未見だったのでかなり楽しめました。なんたって、キアヌ・リーブスが若くて青臭い。そして、無鉄砲にこの映画に2人の有望な若手俳優が、真正面から体当たりで挑んだ事に驚き…

ブルージャスミン

ウディ・アレン監督の映画を観はじめたのが『ギター弾きの恋』からでした。この映画にハマってから、できるだけ観るように心がけています。主に男には厳しく、女には甘いと思っていましたが、この映画は違いました。女性が主演で、これほどまでに辛辣なドラ…

プリズナーズ

不思議な魅力の『渦』(2011)という映画と同じ監督と知ったので、これは見逃してはいけないと観たのが『プリズナーズ』でした。誘拐、サスペンスものでありながら、人の深い部分に迫り耐えられないくらい重い映画がでした。だからこそ、感動や余韻も半端で…

ダーク・ブラッド

1993年に23歳で急逝したリヴァー・フェニックス主演映画で、未撮影の部分を監督のナレーションを入れる形で完成し上映にこぎ着けた曰く付きの映画でした。こういった幻の映画を連続して選んで観た訳ではありませんでしたが、映画そのものが世の中に出て人の…

ナンバーテンブルース さらばサイゴン

1974年、ベトナム戦争末期に戦地でオールロケをした幻の邦画が、38年の時を経て公開され、どんな曰く付きの作品だろうと観に行きました。関係者や監督のトークショーもあって、なかなか興味深く、プロデューサーと監督との作品に対する考え方の違いから対立…

ウルフ・オブ・ウォールストリート

底知れない人間の欲望を描いて、こってりと3時間余はさすがに疲れました。主演のレオナルド・ディカプリオにもお疲れさまと言いたくなりましたが、やはり、この映画ではオスカーの主演男優賞は取れませんでした。競り勝った『ダラス・バイヤーズクラブ』の…

ラヴレース

『ダラス・バイヤーズクラブ』と同様に、アメリカの実在した人物を題材にした映画です。こちらは、伝説のポルノ映画『ディープ・スロート』に主演した女優である女の生き様の映画でした。70年代のハッチャケタ(こんな言葉はないか)感じのドラックにまみれ…

ダラス・バイヤーズクラブ

アメリカ社会が、やっとエイズを乗り越えて(もちろん、克服はできていないけれど)この映画のような視点でエイズを題材にした映画が作られたような気がします。それは、エイズによって死に行くのでなく、生き続ける男の生き様そのものが、とてつもなく力強…

ザ・マスター

フィリップ・シーモア・ホフマンが、2月2日に亡くなり映画界や映画ファンに衝撃が走ったニュースでした。助演、主演共に個性的な役柄を演じ続けていただけになんとも映画界にとって惜しいことでした。すぐに追悼の気持ちでDVDの『カポーティ』を観ましたが…

オンリー・ゴッド

これほどにまで、全体をそぎ落としている映画もあまりないのではないでしょうか。そして、シェイプアップされた映画は鋭利になり、見る人間をまるで突き刺すようでした。兄を殺された弟とその母の復讐劇で、対するのが舞台になっているタイのバンコク警察権…

エレニの帰郷

回顧上映で、過去の旧4作品を見た後の流れですんなり観れるかと思いましたが、テオ・アンゲロプロス監督のこの遺作を観てやっぱり難しい映画だと思いました。東欧州の歴史的なこともさることながら、身近に国境や大国の圧力や進攻に恐怖する感覚に自分があ…

ROOM 237

伝説の恐怖映画『シャイニング』は、1980年に今は亡きスタンリー・キューブリック監督の作品です。今をなお人々が魅入られてしまう『シャイニング』の“深読み大会”的なドキュメント映画の『ROOM 237』は、5人のキューブリック研究家の大胆な分析を語ります…

永遠と一日

北ギリシャの港町で、病のため自分の命も残す所わずかと悟った詩人であり作家の、最後の一日を綴った映画です。想いは、すでに亡くなった妻のことや、娘が生まれたばかりのこと、少年時代の友との冒険にと自分の人生の最良の時をめぐります。ひとりの難民の…

蜂の旅人

悲劇ではなく、悲哀に満ちた初老の男が、娘の結婚を機に教師の職と家庭をすてて旅に出ます。父から受け継いだ養蜂の仕事で、まだ冬の気配が残る北イタリアから南へ花の咲く春を求めてトラックを走らせます。テオ・アンゲロプロス監督が、こんなパーソナルな…

ユリシーズの瞳

変な言い方になりますが、ハーヴェイ・カイテルが主演していることでテオ・アンゲロプロス監督の映画が、エンターテインメントになっていると思いました。アメリカ映画の中でも個性的な俳優であるハーヴェイ・カイテルが、ギリシャ系の映画監督Aに扮し、この…

エレニの旅

昨年、撮影中に事故で亡くなったテオ・アンゲロプロス監督の遺作の公開前に、代表作の回顧上映されました。没後すぐの特集上映で『旅芸人の記録』だけは、なんとか昨年に観たのですが遺された傑作10本を一挙上映されるチャンスを全部は無理としても、逃すこ…

リヴ&イングマール ある愛の風景

昨年、イングマール・ベルイマン3大傑作選『第七の封印』『野いちご』『処女の泉』を観ました。北欧の世界的巨匠と言われた、監督の作品に衝撃を受けました。この監督の映画にも出演した女優であり映画界、演劇界で永く活躍し監督とも5年間一緒に暮らしたリ…

ライフ・オブ・パイ〜トラと漂流した227日〜

これは、凄い。10年に1本、いや、人生の10本に入れたいほどの映画だった。3Dがここまで来たというよりは、映画作りが3Dを乗り越えたとでもいえばいいのだろうか。ヴィム・ヴェンダース監督は『ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』で、芸術の域に達した舞踏…

豚と軍艦(1961年)

敗戦後の横須賀、アメリカ進駐軍から出る残飯の利権を得たヤクザが養豚業に手を出した。貧困にあえぎながらも、八方ふさがりにおさまりきらないバイタリティー溢れる日本人の姿を描く。あらくれてるというだけでなく、登場する誰もが個性ギラギラなのに実は…

紅の拳銃(1961年)

神保町シアターの『日活映画 100年の青春』昨年の有楽町での同じ特集上映で、チケットまで買いながら事情で観れなかった『紅の拳銃』を再チャレンジした。やっと観たぞの思いとは裏腹に、スター映画に馴染みがないので、不自然さに少々戸惑った。話が唐突で…

コックファイター(1974年)

アメリカ70年代南部、闘鶏ギャンブルの世界を描いていたこの映画、製作から39年たった日本初公開。製作がロジャー・コーマンで、主演ウォーレン・オーツ『ガルシアの首』と聞けば、当時をあまり知らなくてもかなりの怪作かなと思って観たら、何だか呆気に取…

ルーパー

タイムトラベルものは、ゾンビ映画と同じでやたらと作られるが、成功させるのが難しい。この映画を、くずゾンビ映画と同じとまでは言えないが、成功しているとも思えない。ただ、骨格としての未来とタイムマシンとの関係が、裏社会と結びついて殺しの道具と…

フリーランサー(NY捜査線)

悪徳警官役に、ロバート・デニーロとフォレスト・ウィテカーを起用したところで、やってくれるじゃないと予告編を見て期待してしまった。若い警官が、悪事にまみれてゆくのがスタイリッシュに、泥臭い悪に染まった先輩警官とのからみはどうなるのと固唾をの…

フランケン・ウィニー

あれこれ言うことも見あたらないほどの、監督ティム・バートン的なものが凝縮された映画で、作っている本人もさぞ楽しそうだなと思った。ティム・バートン的なものが、嫌いではないので一緒に気軽に楽しめた。

星の旅人たち

70年代、マーティン・シーンは、地獄への旅の末に暗殺を実行するソルジャーを演じた。そして、初老を迎え今度はキリスト教3大聖地スペイン、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の旅によって、人生にあらためて向き合う旅人を演じたのだ。この映画に…

ダーク・シャドー

ジョニー・デップとテム・バートン監督のコンビでしかできないと、誰しも思うその通りの映画だった。8本目となるタッグを組んだ作品で、相変わらずのテイストでマンネリ? もしくは物足りないと先入観をもたれそうだが、これは新しくて面白かった。 ヴァン…

名匠・成瀬巳喜男〜庶民の哀歓を描き続けた②

『妻の心』監督:成瀬巳喜男 『あらくれ』監督:成瀬巳喜男2本共に高峰秀子主演で『妻の心』は、優柔不断な夫にあれこれ不満の持つ、ごく普通の妻の心情を『あらくれ』では、大正の時代、経済状況も厳しく貧しく、特に女にとっては辛い世の中であっても、た…

名匠・成瀬巳喜男〜庶民の哀歓を描き続けた①

『夫婦』監督:成瀬巳喜男 『浮雲』監督:成瀬巳喜男銀座シネパトスの名画座特集の2本立上映。先日の日活ロマンポルノ特集をきっかけにして、60,70年代の日本映画に興味を持ちはじめた矢先、人から50年代の成瀬巳喜男(みきお)監督もいいぞとチラシをいた…

ミッドナイト・イン・パリ

アレン監督お得意のラグタイムジャズの一曲の間に、パリの街並、観光ショットが次々に流れ、その一曲でパリの一日を楽しんだ観光客の気持ちにすんなり入り込んだ。上手いなぁー、と思う。すっかり、ウディ・アレン監督の映画の魔法にかかり、その夜の不思議…