新年『大はし』『カブト』飲み始め

今年も、月に一度くらいはお気に入りの北千住『大はし』と新宿・思い出横丁の『カブト』で飲みたいものだと、新年も早々に連日で二つの店の飲み始めをした。昨年もそうだったが、年末年始で忙しかった裏返しで一月は仕事の切れ目ができる時期だった。稼ぎは少なくなるのだが、自由になる時間が多くなって、飲み始めのことを書こうと思っているうちに現時点で『大はし』は3度、『カブト』もすでに2度も調子良く飲みに行っている。

↑仕事の帰りだといくら頑張ってもそう早い時間に来れないから、ついつい駅から早足になってしまう。平日の仕事でない時は、早い時間にゆっくり銭湯に入ってから万全の態勢で飲みに来る。
『大はし』の飲み始めで思ったのは、年末年始を帰省して飲んだ後なので、ちょっと久しぶりに東京で飲むことを実感したことだ。定番の肉豆腐の味もそうだし、刺身にしても脂の乗った金目鯛の赤い皮付きをポン酢で食べると、冬の味だなぁとしみじみしてくるのはこちらの暮らしも長くなった証拠かもしれない。
何とも太くて、大きいサイズの真イワシの塩焼きをつつきながら、金宮に梅エキスをちょっぴり入れて自家調合の炭酸割を飲むと、下町居酒屋の良さにほほがゆるむ。関西なら、イワシは小さいのを煮付ける所だろうが、真イワシのまる一匹塩焼きは、関東ならではだろう。
     ◎
正月には和歌山で、高価ではあるがごぼうをウナギで巻いた“八幡巻き”を食べるのを、毎年楽しみにしている。基本的に関西では、ウナギは蒸さないで生から焼き上げるので『カブト』の味に近いかもしれない。ただ、旨いウナギの串焼きを食べながら飲むのだったら、新宿・思い出横丁に来るに限る。
『カブト』でも、今年の飲み始めに来たら面白いことがあった。

↑『カブト』は、土曜日も営業しているからまだ楽だが、昨年の後半は土曜日も仕事になることが多くてなかなか来れなかった。


平日だったので、まだ余裕で貴重なレバ串にもありつけて飲んでいると、一眼レフをぶら下げて典型的なプロカメラマンのいでたちの男がおやじさんに名刺を差し出しながら取材の申し込みをした。
「ちゃんと組合の方に話し通してんの」とおやじさんは言いながら名刺を見ると『週刊朝◯』だった。
「新聞はいつも撮ったっきりだけど、雑誌だったら載ったのをちゃんと持って来なさいよ」
街の風景を連載している写真中心のグラビア取材のようで、来ているのがカメラマンだけだからキャプション等は後から編集者が現地取材もなしに書くのかなと、いらぬ心配をしてしまった。おやじさんから了承をもらうと、手早く撮影を始め飲んでる客にも片っ端から掲載の了承を取り始めた。

↑カメラマンに、掲載するのではなくても皆が飲み食いしているものを一応、撮っておいたらと勧めたが無視された。こちらは、ブログにアップしなくても許される所では、毎回、飲み食いを撮っている。

↑ウナギの首の付け根を開かないで筒のママ塩焼きにした“マル塩”。中の身が、蒸されたような効果でほくほくになっている。追加で、必ず注文する一品。

仕事をさぼって飲みに来ている訳でもないので顔が出ても問題ないが、バッチリ顔が出てしまい知り合いから何か言われるのもいやだから、掲載の了承を聞かれたが自分はことわった。他の客は、だいたいが退職したおっさん年代でいつ発売するのと興味津々で OK していたようだ。カメラマンが、あまりに顔出しのことだけ気にしているので、皆がなに食って飲んでるのかを撮ったりしないのかと聞いてみたが、どうも反応が鈍い。
そのうちにおやじさんに目線をこっちにくださいと注文をつけながら「その焼き鳥、手に持って」と言ってしまい決定的な間違いを犯してしまった。店にいた客も、店の人も「ここはウナギ屋だ!」と全員から、わかっていないプロカメラマンは総スカンを食らってしまった。
このカメラマンの目には、何も写っていなかったのだろう。(1月8,9日飲)

↑西新宿に夕闇が迫る。勤め人のラッシュ前、学生達に混じってほろ酔い気分での帰宅。