ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ

movie_kid2009-11-08

女が知らない男の不思議と、男が知らない女の不思議。誰もが知らない男と女の夫婦の事。
昭和の初め、戦後混乱の東京を舞台に太宰文学を果敢に映画にしようと試みている。太宰を好んで読んだ訳でないので、原作との対比は置いといても昭和生まれで育ちには、どこか引かれる風景。もちろん、生まれる前の話だからまして東京のあの時代はもう歴史的な範疇だが、どこか繋がっている気がしてくるのは映画の狙い目なのだろうか。
あまり好きではなかったサラブレットの松たか子の良さや凄さ、着物の着こなしで芝居が出来る数少ない女優、ダークサイドを覗く作家を演じる浅野忠信がその暗黒の深みを表現しそびれているのを補うほどの輝き方だった。