チェイサー

movie_kid2009-05-24

サスペンスタッチの事件ものでありながら
韓国映画は、一筋縄では行かない。
猟奇殺人事件は、あからさまなホラーとは違う薄気味悪さがあり
東洋独特の特に韓国的と言えば、語弊あるかもしれないが
お隣同士ではありながら決定的に日本とは違う陰湿なやり切れない
背筋が寒くなる怖さを感じる。ことさらに被害者が女性の場合
残酷さは、ますますエスカレートして思わず目を背けたくなる。
苦手だった韓国映画(ブームだった韓流ではないですよ)
友人に薦められて久しぶりに観て、苦手を再確認しつつも
雨が降り続く、夜の闇と怪しげな繁華街や坂の多い街並を背景に
怨念まで出そうなほどの、その情念を際立たせる演出に釘付けになった。
ディカプリオが映画化権を手に入れようが、アメリカ人が撮っても
絶対こうは、重いものにならないだろう。
所変わればで、警察のゆるさに戸惑っている間もなく
理由なき不気味な殺人者と元刑事で性風俗デリバリー業のうさん臭いおやじの変な熱血に
果たして物語は何処に向かって行くのかもわからないまま、緊張感で引っ張る。
アウトローの主人公も、殺人者も、被害者や警察をも含めその各自の汚れ具合を
顧みる余裕もなく、激情にかられひたすらに向かって行く先にある
こんなやるせなさをしっかり受け止められる、韓国人のタフさ
やはり、再確認した。
ひたすらに追い続けたアウトローな主人公に、とてもヒーローなどと言えないのだが
荒っぽくて執拗な執念深さ、傷つけ傷つけられて擦れっ枯らしたあげく
ちらりと見せる優しさ、打ちのめされた後ろ姿に、いつの間にやら惹かれる魅力も感じた。
ただ、日本人の役者でやれそうな顔も浮かばず
ましてやディカプリオが演じても、観たいとも思わない。
韓国映画の中でも、新しい潮流なのかも知れず
苦手などとは言っていないで、ナ・ホンジン監督の今後の作品は、要注目なのかもしれない。