チョコレート・ファイター

movie_kid2009-05-23

まがい物でない、真っ正面のアクションを信条とするのであるなら
もうすこしその物語もしっかりと練り上げてほしい。
日本公開仕様に出演の阿部寛のナレーションが入って取っ付きは良い。
やくざの阿部チャンが、タイに進出し地元と敵対しながらも
凄腕(?)ギャングの姐御とあらら、上手くいってしまう。
面子をつぶされたボスは、怒り心頭で女をいたぶるが
身ごもっていた女は、阿部チャンを日本へ帰し一人でひっそりと
子を生み育てようとする。生まれた子は脳に障害があり
自らも病に倒れ、不幸に沈殿して行く。
その障害のある子供は聴力、動体視力など特異な才能も持ち合わせ
成長とともに格闘に目覚めて行く、となるのだが、ここらから変だ。
幼なじみの助けを得て、母の治療費用のために
ギャング時代の貸しを取り立てに行くのだが、もちろん相手にされない。
ならば力づくでという展開になると、少女がやたら強い。
なんで強いかなど言うなとばかりに、大人達に囲まれた少女という構図を強引に押し通す。
荒くれた野郎ばかりといっても、ギャングではない市場の商売人と労働者である。
最初なめてかかったとしても、本気で全力を傾けて子供にかかって行かないだろうし
肉体を痛めつけられるのを目の当たりにしたら、ずる賢く金で解決しようとするだろう。
いつのまにか、アクション最優先の構図にすっかり凝り固まっている。
クライマックスのギャングとの対決に向けて、アクションを派手に盛り上げるためか
ヤクザの阿部チャンが、舞い戻ってくる戦いの場にすでに地元のギャングが
日本刀を振り回しているのも、どうかと思うよ。
エンドロールで、おまけとしてケガ人続出の現場映像が流れたが
この痛いリアリティーには、目を見張った。
熱心でいながら、映画のツボを外された気持ちの悪さが残念。