湖のほとりで

movie_kid2009-09-06

この所の疲れが出て来たのか、始まってとたんに睡魔に襲われた。
静かで牧歌的な北イタリアの雪を頂いた山々も見える麓の小さな村で、起こった殺人事件。17歳の美しい女性がきれいな湖のほとりで抵抗した痕跡もないまま全裸の上に青い上着を掛けられた姿で発見された。
事件を追う一癖ありそうな刑事が登場すると、これはもうミステリー調なのだが、いっこうにテンポアップして来ない。殺された女性といろんな意味で接点がある人々を刑事が会いに行き話を聞き、あるいは問いつめていくのだが、どうも行き着く先が人々の不安であり後悔でありで、心の問題ばかりで事件の解明には近づいていかないのだ。果ては、その刑事ですら妻の若年性認知症のために苦しんでいる。
さぞかしぐっすり寝てしまったかと言えば、そうではなくだんだんとこの映画の持つ色合いが見えて来た。どこか透明感すらあるような、発見現場の湖と取り巻く自然の装い、そこで暮らす人々。犯人探しというよりは、殺されて亡くなった17歳の美しい女性がさも蘇ってくるかの様に生前の行動が徐々にわかってくるのだ。
人というのは、単純なようでいて不可解で、複雑で、深いものなのだなぁ、と思うと同時に涙がつっうと流れた。寝なくて、よかった。