正義の行方〜I.C.E. 特別捜査官〜

movie_kid2009-10-10

ハリソンフォードは、悩み苦しんでいた。『ブレードランナー』のレッカード元刑事のように、答えのない疑問と目の前の犯人を始末する事の狭間に身を置いて。今回は、刑事ではなく入国管理局の捜査官で、アメリカへの不法入国者を摘発し国外退去させる。すでに老齢の域に達しようとしているハリソンフォードだが、情けも温情もありながらも現実に流され、現場からなかなか離れられない男を演じる。
9.11後のアメリカの現状は、経済の破綻、低迷でより厳しさも増し、もともと移民の国家であることを忘れさらに門戸を閉ざしている。より貧しい世界中の不安の国々から流入してくる、人々の苦しみの中に立つ捜査官の物語と思いきや、話は拒絶するアメリカ国民、拒絶される移民、群像劇の手法をとって視点を行き来しながら全体を捉えて行く。
最後まで悩み続けるハリソンフォードの小さな一歩が救いに思えなくもないが、闇は深い。