大阪・新世界でK西さんと再会、目指すは立ち飲み名店『平野屋』(4日目)最終日

徳島から出て来て、大阪・堺市で法事を終えたK西さんと再会して飲むことになった。お盆(夏)休みの最終日、お昼前に和歌山を出て、大阪で昼酒をやってから夕方新幹線で東京に帰る算段だ。

↑「紀ノ川よ、また、帰ってくるよ」と、きのくに快速で大阪に向かう車窓から。

串揚げ屋の渦巻く新世界で、魚中心の豊富な旨いアテを出す、きりっと筋の通った立ち飲み『平野屋』に狙いを定め2時にジャンジャン横丁入り口で待ち合わせることにした。早くも1時にJR新今宮の駅に着いたが、お盆のこの時期、特に大阪は、なんでや、と言いたくなるほど蒸し暑い。だらだらと汗が滴り落ちながら、とにかく、お店を確認と新世界の中ほど『平野屋』の前に行くと、当たり前のようにお店は営業中で、すでにカウンターの全域に客が取りついている。しかし、待ち合わせまで1時間。ここは定石通り、通天閣の足もとにある銭湯で一風呂浴びるのが正解だろう。こんな昼日中から、普通の銭湯も営業してるところがこの新世界、歓楽街の素晴らしいところだ。

↑それにしても暑い。通天閣のそびえる新世界は、ゴテゴテの看板やら喧噪やらで、街全体がうだる暑さだ。

↑一転して、ひと風呂浴びるだけで、さっぱりと飲み食いする気分とカラダになっていた。

↑新世界は、混雑する中心地を通ると疲れるので、少し側面から行こうとするといつも、新世界国際劇場の映画館の前に出る。

これから立って酒を飲むことを見越して、お湯につかった足の筋肉もゆっくり揉みほぐし、汗も流してさっぱりと、のどの渇きもちょうどよくK西さんを待っていた。聞いていなかったので、奥さん同伴で驚いた。とは言っても、すでにこの正月に母とかみさんも含めた家族一緒に飲んでいる仲だ。入ったすぐのカウンターで3人がちょうど収まり、瓶ビールのごくごくタイムが始まった。

↑さあ『平野屋』で、飲むぞ。
まずは、お刺身専用ガラスケースにさっと目を通し「カンパチ」「きずし」「カツオのたたき」から始めることにした。もう、何度も来てるだけにK西さんも僕も手慣れたものだが、どうしても大阪で飲む時は、アウェーのような感じで少し緊張する。K西さんと話すと、関東風の言葉になるのでここではとても目立つのだ。2人で来た時に「東京者が」といった視線を感じることがあった。今回は、3人なので何だか勢いみたいなのがあるようで、あまり引け目を感じることもなかった。隣で飲んでいた(缶コーヒーボスのCM)トミー・リー・ジョーンズにそっくりの初老のおっさんが「おせっかいで申し訳ないんやけど」と話しかけて来た時は、緊張するよりもおかしくて笑えて来た。

↑カンパチ、きずし(シメサバ)にしんの煮物。

↑ねぎたっぷりのカツオのたたき。

イカの煮ものに味付けごぼう

↑「芋茎」ズイキは、関東は干したもので関西は生を使うようだ。お盆のお供えにしていたのを母が煮ていたが、酢を入れて味つけると言っていた通り、ここのも少し酸っぱかった。

ビールから僕は常温の日本酒に、K西さんと奥さんは焼酎と炭酸をもらいコップに氷も所望してチューハイを飲んでいる。それにしても最後に奥のガラスケースからK西さんが見つけ出したまぐろ刺身の切り身の厚いこと、これぞ『平野屋』の真骨頂だなとそろそろ痺れ始めた頭に刻み込んだ。

↑カレイの煮付け、見るからに旨そう。煮汁を見ると、やっぱり、関西だ。

↑ハモとイカ造り。ハモ湯がきには、どちらかといえば梅肉よりからし酢みそが好みだ。イカ刺しにつけてもいい。

↑もう、何も言えない。このマグロの切り身の厚さで参ってしまう。

↑瓜の浅漬けで、目も口も、さっぱりと。

↑3人前とはいえ、よく食べ、飲んだ。

さて、K西さんの奥さんとはここでお別れ、僕たちはもう一軒、新しいお店の開拓のため京橋に向かった。というのも、酒場放浪記の吉田類さんのサイトで大阪の名店を紹介していて、目星をつけていた。しかし、京橋『京屋本店』お盆休みだ! 残念。それにしてもでっかいアーケードの大阪らしい商店街が駅から長く延びている。ふらふらと歩きはじめすぐに見つけた京橋『丸徳』へ、すでに飲んでる勢いでするりと入店した。

↑京橋『京屋本店』無念。

↑『京屋本店』から、すぐ近く。京橋『丸徳』

カウンターの前にところ狭しと大鉢料理が積まれている。あくまでも日本酒の常温にこだわり、一品、二品たのんだが、程々にいける。と思ったら、酢豚を食べたK西さん「ひゃー、これまずい」と、ぱさぱさの肉に悲鳴を上げた。冬瓜などは、優しい味付けで大阪の家庭の味がしたんだけどな。

↑夏場のお気に入りの日本酒の飲み方は、常温が一番。酒の味がわかり、冷やした酒ほど悪酔いがしない筈だが。

↑目移りする、大鉢料理。しかし、当り外れがあったようだ。

↑和歌山ではそうでも、大阪では「ながれこ」とは言わない。トコブシの煮物。

↑小松菜煮浸しときぬかつぎ。渋いアテもある。

↑きずし(シメサバ)本日、二皿目。

↑旨かったよ、冬瓜。

↑それに、左端の酢豚。変な、外れアテもあった。

↑卵とじ、エビ入り。

パソコンで近隣のお店探をしたものの、もうかなり飲んだことだしここらで終わりにしようと席を立った。夕方、京橋駅のごった返す中で、次はいつ一緒に飲めるのかなぁーと寂しさが胸によぎりながら、別れの時がやって来た。
ひとり新大阪駅に向かうも、指定席を買ってる東京行き新幹線の発車時刻まで1時間以上はある。それでは、新大阪の駅でもう一杯飲んで時間をつぶそうと3軒目を、ひとり飲み。なんで、こんなに飲めるんだろうともうろうとする頭で、不思議に思っていた。
撮った写真を見るまでは、新大阪駅で3軒目に入ったことすら忘れていて、大阪で飲んでいて気がついたら東京・荒川のわが家で、まさに真夏の白昼夢だった。

↑あれ、店が違うなと、後から写真を見てわかった新大阪駅、地下街の食堂兼飲み屋。

↑焼酎まで飲んでいる。そうそう、芋焼酎「明るい農村」のロックだ。少しは思い出して来た。

↑ひえぇー。焼き鳥セットまで食べてる。何かが、大阪の飲み食い倒れが僕に乗り移っていたのかもしれない。

↑メニューの短冊まで写真を撮って、もっと、食べたかったんだろうか。

↑新幹線の席で、こんなものまで。