一年ぶりの中央線ゴールデンコース、帰って来た飲み友達

春まで、和歌山県に住んでいた飲み友達のK西さん、今は徳島にいる。徳島の中でも、高知の県境に近いぐらいの土地に行ってしまったので、なかなか会えなくなて一緒にお酒を飲むこともままならない。と思っていたが、この夏、お盆休みの帰省の時、和歌山・田辺や大阪で再会して飲むことができた。そうしたら、今度は、東京に戻ってくる。どうやら、移住した先の徳島で、仕事も絡んだたのまれ事をこなすために1週間ほど東京にいるらしい。先に大阪に滞在し、新世界『平野屋』で飲んだり、今夜も天王寺阿倍野の再開店した『明治屋』に行くぞとメールが来ていた。
翌日に大阪を昼前に出て、東京に到着し実家のご両親の住む吉祥寺に荷物を置けば飲みに行ける、とメールに書いていた。ちょうど昨年の今頃もK西さんは、東京に来ていて『中央線ゴールデンコース』に行っている。気になっているのが自分の再開していた仕事で時間が取れるかどうかだったが、週の後半までお呼びがかからないようなので、胸をなでおろした。一年ぶりのこのコースに挑むために、新宿の思い出横丁に向かった。

↑平日の夕方に『カブト』に来ることはほとんどないので、状況不明。土曜日ほどに早く、レバ串がなくなっていないだろうとは思うが、1年ぶりのK西さんは、やっぱり、食べたいだろうな。

↑K西さんもカメラを持ち歩き、飲み食いしたものを撮っている。2人して撮ってるのは、気恥ずかしいのだが仕方がない。

この“ひとり飲みブルース”でも頻繁に登場してるうなぎの串焼き『カブト』からはじめ、荻窪『やき屋』でイカ料理を堪能し、阿佐ヶ谷『たつや』で魚をガッツリ食べるコースだ。K西さんが、東京に住んでいて一緒に飲み歩いていた頃の大好きなコースで、いつのまにか『中央線ゴールデンコース』と命名していた。
“ひとり飲みブルース”の登場最多回数を誇る『カブト』を、サイトのブログを見てるだけの状態で1年間も我慢していたK西さん、旨そうにうなぎの串焼きを頬張る。平日だけに、レバ串がぎりぎりでまにあった。滞在中に、もう一度は来てしまうなぁ、と話すK西さんの気持ちは痛いほどわかる。あまり食べ飲む過ぎるとこの先が、続かないから追加のマル塩をたのむのを一瞬、躊躇して考えるも、これを食べずして満足できないと1本づつ食べることにした。黒く焼けているとマル塩が、ぶつ切りなのがわかりづらいとK西さんが言うと、お店のI東さんが生のままを皿に入れて写真を撮らせてくれた。何とも優しい心遣いをさらりとしてくれる、うれしいなぁ。

↑こんな“生”写真まで撮らせてもらえた。これが、生マルだ。

↑追加のマル塩まで食べないと、気が済まない。
今回のゴールデンコース、1年前とは違っている。それは、荻窪『やき屋』が移転したのだ。荻窪北口の再開発の波が、あの一角の飲み込んでしまったのが影響しているのだろう。春先の閉店の際には、常連客だった人の嘆きのブログがアップされていたが、その後、夏に場所を変えて復活を遂げていた。足が遠のいていたため、当時のことの顛末を後で知った訳だが、今回、初めて新店舗に行くことになる。夕暮れの荻窪駅に降り立ち、ほろ酔いながらもあっけなく新しい店を見つけることができた。

荻窪『やき屋』南口、新店舗。あっさり見つかって気が抜けたのか、すでに酔っぱらって来たのか、ピンぼけ写真。

店の左側に客が立ち飲みする長いカウンターが奥に伸び、一番奥に3人が座れるようになっていて、以前のひとつあるテーブルだけが座れた面影を残している。カウンターは、前より沢山人が飲めようだ。若い女性の店員も加わるが、新しい店舗のわりに店に落ち着きを感じさせるのは、満員状態で飲んでいる客すべておじさんなのが大きいだろう。
前の店のたたずまいを懐かしく思わない訳はないが、さすがにいい店は、移転して新しくなっても、客と店側が一体となって元の雰囲気を醸し出すのだなと思いながら、わたあえやイカ刺、みみ刺をつまみながらホッピーを飲んだ。

↑ホッピーに、わた和え、イカ刺、みみ刺が、飲みはじめ最初のセットだ。

↑わた和えのアップ。以下、イカ刺、ミミ刺



↑なんこつ焼き。

↑お新香。

↑塩から。どうして、こんなにうす塩で美味しくできるんだろう。色も香りも、プロフェッショナルな仕事だ。


コースの最後を飾る阿佐ヶ谷『たつや』には、荻窪からバスで行く。だが、再開発のためバスの乗り場がわからない。中野から阿佐ヶ谷を往復するバスの中間地点に店があり、荻窪からもバスで行けた筈で、最寄りのJR阿佐ヶ谷駅からでも、かなり歩かなければならないほどの住宅街にある。しびれを切らしたK西さんが、タクシーで行こうといいだし乗って行ったものの、お店の前が暗い。看板に灯りもない。一年前に来た時もマスターはあまり元気なかったので、もしかしたらのことも想像しつつ、少し前に携帯が壊れ番号をなくしてしまったので、来る前に確認もできなかった。店の前まで近づいてみると中は、灯りがついていて、なんだ、マスターがいるじゃないか。

↑阿佐ヶ谷『たつや』最初の一杯は、マスターが好きなビールをたのんで3人で再会の乾杯をした。お通しは、はやの塩から。
「看板に灯りがついてないよ」って、言いながら中に入るとマスターが顔をほころばせ迎え入れてくれた。東北出身で朴訥なマスターは、遠くに暮らしてるK西さんに元気でしたとぼそりぼそりと話し、再来を喜びながらも景気の悪さをこぼしてる。小型の魚を、一匹まるまる捌いて刺身を造り、大きい魚や貝類もたっぷり器にもりつけて一品一律、1,330円の魚の店。カウンターだけの小さい店内で、見事に魚を捌き造るのを見ながらたっぷりと刺身を堪能できる2人ともにお気に入りの店なのだ。
客が来ないことには、築地で仕入れた魚を客に出す回転が滞り美味しい刺身を出すことができなくなる。月曜が休みで、店にとって週はじまりの火曜日だがあまり魚の仕入れがないようだった。それでもさすがは『たつや』だ、仕入れの箱を開けるとまるまると太いトビウオが出て来た。それいただきますと刺身を造ってもらうと、切り身が大きい。大ぶりの切り身に久々『たつや』さんの魚の食べごたえを堪能した。
刺身以外のちょっとした酒のおつまみもあり(もちろん、それは一品一律の1,330円ではない)K西さんはハンペン焼きを所望した。築地で仕入れたハンペンは、ふっくら厚いのをこんがりきつね色に焼き、海苔で巻いて食べるのだが、ご免なさい、写真を撮りそこねた。3軒目で、酔いもまわって来たらしい。

↑飛び魚のぶりぶり、大ぶり切り身の写真もピンぼけだ。はんぺん焼きも撮りもらして、かなり酔っぱらって来たのか。
*マスターがもう少し明るい顔になり、旨い魚の仕入れが上手く回るようにもっと来なければと思いつつ、もう少し皆にも来てほしい。魚好きには、たまらん店だもの。飲み食べに来たことある人には、再来を乞う!
阿佐ヶ谷『たつや』03-3337-9875
住所:東京都杉並区阿佐谷北4-16-7
阿佐ヶ谷駅中野駅との循環バス路線の東原バス停下車、早稲田通りをスーパー丸正先1本道を入ったところ


中央線ゴールデンコースを無事、制覇して満足して帰路についたが、阿佐ヶ谷駅に着いた途端K西さんは、高円寺でもう一軒行きたいと、言い出した。まだ、そんなに遅くないので、行ってみることにしたライブハウスは、何度か来たことのある店で、今夜の演奏はもちろんどんなバンドか知らなかった。旅の疲れが途端に出て来たようで、椅子に座るなり演奏もはじまらないのにワンドリンクを片手にK西さんは寝入ってしまった。とりあえず、一曲聞いてから早々に帰ることにした。

↑K西さんの徳島のお土産にいただいた『木頭ゆずクリームジャム』は、バターを使っていると聞いて少しこわごわだったが、すっきりとした味でゆずの風味と香りが素晴らしく、美味しいものだった。ご馳走様です。