ツリー・オブ・ライフ

movie_kid2011-08-13


時代も時空も超えてコラージュのように、いろいろなイメージ、要素をよせ集めつなぎ合わせて、詩の朗読のようにながれる映画だった。長編映画をまるまる一本、この調子で続けるのはどうなのだろうかと思う。だって、わかりにくい。テーマがわからないのではなく、何を言っているのか、どんなことを映画で語っているのかわからないのだ。それと同時に、西洋人の信じる(キリスト教ですね)神の存在を受け入れていない限り、ますますわからない映画であるならば、普通に映画館で上映するには無理があるし、傲慢だと思う。
監督がテレンス・マリック、観たことがあるぞと思ったら「シンレッド・ライン」の監督だった。日本兵の悲惨さを激痩せした姿によって表現した、監督だ。(日本兵を戦闘で傷ついた、野山と同じように自然そのものとしか描いていなかった。日本兵を人間扱いしてないのでは、とすら当時、思った)
クリント・イースト・ウット監督は、太平洋戦争末期の日米決戦の映画を撮るとき、こんな微妙なことは両方向、双方の視点で描くことが必要だと『父親たちの星条旗』と『硫黄島からの手紙』の2本の映画にしたのを思い出す。
もちろん、いろんな監督が、独自の個性と視点で自由に映画を作るのはあたりまえの話だが、あまりに逸脱した立ち位置で語られると戸惑いも大きい。撮影現場の自然現象そのものと呼吸しあうような俳優たちの演技も映像も、ただ事でないくらいの質の良さを感じるだけにもったいないなと思った。けれど、この監督なら、聞く耳もたないだろうな。