お盆、ふるさと飲み紀行は紀伊田辺から(1日目)

夏のお盆休暇、土日をはさんで前後2日だけのお休みで昨今のエコ休暇などと比べたらとんでもなく短いが、楽しみにしていた。元気でいながら、母も当たり前のように歳をとってきたし、一緒に住まない親不孝の息子としては、元気な顔を見せるのがなによりの孝行だ。亡くなった人が、向こうから訪ねてきてくれるお盆時期でもあるのだから、仏壇の前で手をあわせ亡き父のことを想うのも、たまにはいいだろう。

↑新大阪から乗った特急『くろしお』の車窓。紀伊田辺の手前あたりから突然、コバルトブルーの海が目に飛び込んで来る。
実家に帰る前のお楽しみで、今、徳島に住んでいる飲み友達のK西さんと飲めることになった。東京生まれの育ちで、仕事を始める前からの長年の飲み友達が、自分の出身県の和歌山に突然、移住してから2年近くたった。今年の春から、徳島で暮らすことになったが、この正月までは僕の帰省の時に何度か一緒に飲むこともあって、このブログでも紹介したことがある。
今回、ちょうどこのお盆に大阪に来ているとのことだったので、すぐに飲む約束を交わした。春までいた和歌山・田辺のお世話になったお店に挨拶などもかねて行くこととなり、一泊での紀伊田辺「味光路」飲み紀行になった。

↑移動中に、昼を食べそこなったので浜で海を見ながら高菜を巻いた『めはりずし』をほおばる。

↑冬場の閑散とした感じもいいのだが、夏のこの時ばかりは、白浜もリゾート地に変貌する賑わい。

↑浴場が2階にあり、海と浜を一望しながらお湯につかれるお気に入りの温泉だ。

今朝、東京を出て実家の海南市を通り過ぎて、一気に観光地「白浜」まで来た。海水浴客で大賑わいの浜で『めはりずし』とビールで腹ごしらえをしつつ、まばゆい水着姿を堪能してから、しらら湯温泉にゆっくりつかった。
休みの前日、今勤めているデザイン事務所を8月いっぱいで辞める事が急に決まり、さて、この先をどうしたものかと頭を悩ませていた。夏の海と浜を見渡しつつ、湯につかっている事があまりにも現実離れしていて、頭の中に何も浮かんで来ない。今は、くよくよ考えないで温泉で疲れを癒して、久しぶりに会う飲み友達との酒盛りを楽しもう。
大阪から車で向かってるK西さんは、高速の渋滞で予定より遅くなったので、一泊3,500円の駅前旅館「美吉屋」でのんびり待ちながら、知人とかみさんの実家の檜原村に白浜の絵はがきを書いた。
再会したK西さんと連れ立って、郵便局のポストへ絵はがきを投入してから田辺の『味光路』へ繰り出した。一軒目は、季節料理『しんべ』で、とにかく、魚の街だからお刺身食べないと始まらない。ここの刺身盛り合わせの品数には本当に毎回驚くし、満足する。ご当地では「ながれこ」と言うが、トコブシの刺身が食べられて、これが旨いのだ。アワビのこりこりとは違った、柔らかい食感と磯の香りがたまらない。

↑どうです、この盛り、この種類。そして、滅多に食べることが出来ないトコブシのお造り。堂々『しんべ』の刺身盛り合わせ。

↑ガンガラ(もしくはニナ貝と言うらしい)の塩ゆで。刺身盛り合わせで満足して、他の料理をたのまないからサービスで出してくれた。

自ら釣りをする元気いっぱいのおやじさんは、細かい事はいわんでええ、旨い海のもの食べて行けとばかりの気風の良さが気持ちいい。実は、K西さんこの地を離れた事をこの店には言っていないようで、最近、ご無沙汰やなのひと言が、椅子に座るなり飛んで来た。
次は、鮨・割烹『よしひさ』で、2店とも2人のお店選びの意見がばっちりあった。今年の正月、このお店で絶品のさばの棒寿司を食べさせてもらい、もうこれ以上の鯖は食べれないだろうとまで思った。

↑よしひさ寿司屋のお通しが、卵豆腐にたっぷりイクラをのせ食べる。つるんとプチプチで、意外にさっぱりで夏向き。

↑マヨネーズがでしゃばらない、酢の味付けが絶妙。どこにもない味なんだけど、やっぱり、ポテトサラダだ。

↑和歌山にもいい酒あると思うが、置いてある日本酒は、新潟・〆張鶴。微妙な魚料理には合うのかもしれない。冷やしたのでなく、常温でもらう。

↑小鯛がよく捕れることもあって、和歌山ではポピュラーに出て来る小鯛の酢漬けだが、これは、頭ひとつ出てるスペシャルだ。

↑そして、寿司屋で出す牛の焼き肉。味付けは、さっぱりポン酢で素材の味を充分に引き出してる。

夢をもう一度と鯖の棒寿司出来ますかと、聞いたら「夏場の鯖は、あかんので」と、つれない返事が返って来た。「でも、いいサンマはあるぞ」「さ、サンマですか?」耳を疑った。棒寿司のサンマは、時期はもっと先で北からの長旅で脂を落としたさっぱりスリムなサンマだ。
「釧路から来た初物やけど、こんな、ごついのまあないで」
冷蔵庫から取り出されたサンマは、それはそれは、立派だった。
「寿司屋の勝負は、料理の腕やないで、魚の目利きやで」
前回、鯖の棒寿司にこちらが堪能している時、おやじさんはつぶやいていたっけ。
サンマの塩焼きは、奥多摩桧原村のかみさんの実家で炭火焼で食べるのを毎年の行事にしていたが、今年の初物は、不思議な具合で南の田辺で味わった。

↑焼いてなお、存在感たっぷりの肩が張った(サンマのどこに肩がある)ぶりぶりサンマ、いただきました。

↑卵焼も寿司ではなく、そのもので。

イカ好きのK西さんのお気に入り、ちゃんと一人2貫ずつ食べました。

地の魚として小鯛の酢漬けは、しめ具合、微かな酢の味付けに鯛の皮と身の旨味が凝縮されていた。塩味をつけたイカの握りに、柑橘しぼり汁をぱっとかけ、醤油をつけないで食べた寿司の旨さよ。名物(?)寿司屋さんのポテトサラダもしっかり堪能した。

↑もうちょっと飲みたくて、入るスナック。K西さんが田辺で飲むとき、そんな感じでこの店に来ていたようで、ママさんとは仲良しだった。

最後の3軒目は、地方でいまだ健在のスナックと呼ばれるタイプのお店。女性(及び、若い男の子も一人お手伝いでいた)が、おもにウィスキーで水割りなんぞを作ってくれて、話し相手もしてくれる気軽なお店。うれしい事に、カラオケはやらない店なので仕上げのバーボンウィスキーをゆっくり飲んだ。
      ◎

↑駅前旅館の『美吉屋』お世話になっています。

↑軽めの朝食で、コーヒーも飲めるし、って感じで喫茶店のモーニングセット。

翌朝(和歌山で多い気がする)朝の外食の定番、喫茶店のモーニングセットを食べてから、K西さんの車で僕の実家のある海南市へ送ってくれた。K西さんは、母とも数年前一緒に香港旅行に行ってからの知り合いで、家に上がってもらい久しぶりに3人顔を会わせた。このまま大阪へ戻るのももったいないので、最近、観てなかった映画に行ってからにするとK西さんが言い出し、たいして予定もなかった僕もご一緒することにして、母も誘ってみた。
もうお坊さんは来てくれたので出かけても大丈夫だと言うことで、3人でジネスト和歌山へ行く事になった。噂では聞いていたが、そこは、映画館だけでなくスーパーも本屋も飲食店も広大な駐車場の敷地のなかの大きな建物にひとまとめになっていた。映画の前に、お好み焼きのチェーン店、鶴橋『風月』に入り3人で鉄板を囲みながら、この後、ほんまに映画を観るんやろかと、意外な展開に妙な感じがしたのだった。

↑粉もんに昼ビールなんか飲んじゃって、まったくの夏休みモードが入ってる。

↑お店の人が焼いてくれる、牛筋お好み焼きに塩焼きそば。

↑豚の味噌焼き。これで、また、ビールが進む。やれやれ。