江の島の社員旅行。そして、ひとり飲み

年に一回の社員旅行、今年は江の島だった。お昼に現地集合しみんなでご飯を食べてから、島に一泊して翌朝、チェックアウトで解散。何ともお手軽、お気楽ないい旅行だった。普段は顔を合わせたら、仕事、仕事の間柄でも、このときばかりはすっかりゆるい関係に、みんながリラックスした。
鎌倉から江ノ電に乗って江の島に来たのだが、地元では都電荒川線に乗っているだけに、江ノ電は気になる存在だった。数少なくなった路面電車江ノ電にも、いつか乗りたいと思っていてもなかなか機会がなく、初めて乗れるチャンスが来たわけだ。

↑都電は、バス方式で降りる駅をブザーで鳴らして自己申告するが、江ノ電は全駅に停車する通常の電車方式だ。単線で、電車同士が対面するのんびりムード。進行方向の先に江の島が、見えて来た。

↑江の島界隈は、浜の街並みも島も、どことなくいい風情があった。

乗ってみたら、3両編成でどうも都電よりは車両も駅も大がかりだった。でも、走っているところは本当に人家の庭先みたいな、それもかなり狭まったところを単線で車両の幅ぎりぎりに、そろりそろりと走る感覚だった。
先頭車両で見ていると左手に海が見え、江の島も視界に入ってきたら前方に富士山があらわれる絶好の車窓だった。奥多摩で、山から眺める富士山のイメージが染み着いているので、海から見える富士山と江の島にひたすら感動した。

↑勘違いで、集合時間に30分遅れてしまったが、皆の食べてる時間に間に合い生しらす丼にありつけた。たっぷりの生しらすが丼のご飯を覆い隠す。

↑高台の海っぺりの席で飲む、ビールの旨さよ。

↑事務所社長が、数人の散歩同行者にビールと一緒に振る舞ってくれた。有り難く、ごちそうになりつつ、焼きはまぐりも、江の島の味としてすっかりお気に入りになった。

↑坂の途中の眺めのいい食堂。どんどん降りると、海岸の洞窟に行くのだ。帰りの登りが、またつらいのだが。


お昼に食べた生しらす丼も旨かったし、江ノ島散策の途中でお土産の海苔羊羹など買ったり、海の見晴らしのいい食堂で焼きはまぐりをつまんでビールを飲みながらの休憩も楽しかった。
翌朝、宿で解散となり皆は、鎌倉に行ったようだが、僕は、妙に江ノ島が気に入って午前中またふらふらと江ノ島を歩き回り、海をぼーっと見つめていたりした。このところは、旅行なんかもしていなかったので気楽な一人旅気分でのんびりした。

↑翌日、江の島を離れるとき、橋のたもとで遊覧モーターボート千円の文字が目に入った。海上から見る江の島も、またいいものだな。

江の島から江ノ電で2つ、3つ行った稲村ヶ崎で温泉立ち寄り湯があるので行ってみた。午前中は、曇りがちだったが午後からはもうギラギラと夏の太陽が照りつけて日差しが痛いくらいになった。後から知ったのだが、この日関東も梅雨明して、例年よりは相当早く夏が始まった。

↑黒いお湯の稲村ヶ崎温泉。18歳未満は、入泉不可で落ち着いて入れる大人の温泉にしている。浜の先には、江ノ島が見え、サザンの曲が耳に流れてくるようだ。

さて、日もかなり高いところにいるが、温泉にはいってさっぱりもしたし一杯やってもいい時間になって来た。鎌倉から出発した江ノ電の終着の藤沢駅に降り立ち、調べていた居酒屋の場所を確認する。藤沢は、想像していたよりはかなり大きな街だった。小田急線とJR東海道線がとおり、都内へ通勤できる便利なところだ。
サイトで調べていた、評判も上々の老舗の居酒屋『久昇』は、江の電・藤沢駅小田急デパートのすぐ近くだった。行ってみるとまだ開店前だったので、ぐるりとその街角を歩いてみたが、大きい街だけにそこそこ飲み屋さんも多かった。
2度目に行くと『久昇』の暖簾が出ていたので、店内に入るともうカウンターが、客で埋まりそうになっていた。テーブルもあるが、予約がはいっているらしくお通しなどを並べてる。すぐにカウンターへ座れたが、後から二人連れが二組来て、カウンターがいっぱいになった。

↑全国展開のチェーン店でない、各地元自慢の居酒屋も少なくなって来た気がする。自分の行きつけのお店を離れ、初めての土地で飲むのも期待が膨む。

人気店のようで、その後も客はやって来るし、座ると同時にどんどん料理を頼んでいる。料理の価格は、それほど安くはないと思ったら、一品がかなり多めでボリームがある。最初に頼んだ『うざく』も、たっぷり盛られていて、キュウリの極薄の切り方、生わさびもあえられた味に旨いと唸ってしまった。うなぎのこってりとさっぱりの味付けがうまく、料理人の腕が冴えていた。

↑板前さん達の仕事ぶりもそれなりにみれるカウンターはいい。


↑キュウリに和えられた、わさびが驚く旨さになっていた、うざく。

生ものは、アジたたき、野菜はみずなす、焼き物をイカにしたら強烈に飾り包丁が入っていた。どれも、旨いのだが、一品一品がどしんと来る量なのだ。お一人使用でなく、2〜4人のグループで沢山いろいろ食べる昔風の居酒屋のようだ。酒はごく普通の旨口で、常温の大徳利2本で充分いい感じになって来た。

↑カンパチ刺しと迷った末のアジたたきは、たっぷりの盛り。

↑なすの味を活かす、ごくごく薄塩のみずなす。

↑ここまで飾り包丁を入れられるといか様になったようだ。

料理の写真を撮っていると隣の女性の二人連れが「私たちのも撮ってもらえます」と、海老フライの皿をこちらに差し出そうとしている。「よりによって揚げ物かい」と、思ったが顔に出さずに「自分の食べた物を記録してるだけですので」と丁重にお断りをした。いままでそんな声をかけられたのは初めてで、洒落っ気があり、気さくな人もいる藤沢の居酒屋だった。

↑西口焼きトンは、確か浅草橋だったか。ここは、南口だ。

お腹いっぱいになって『久昇』を出たはずなのだが、ふらふらと、さっき目をつけていた焼きとん屋へ歩いて行ってしまい、一瞬の躊躇はあったもののするりと入ってしまった。ホッピーを飲み、塩とタレ3本ずつ焼きトンを食べたが、結構、旨かった。若者達でやっている新しいお店で、雰囲気も爽やかでなかなかいい。若い店長の仕事ぶりを見ていて楽しかった。江の島社員旅行から藤沢ひとり飲みまで堪能の二日間を、いい感じで締めくくれた。

↑ホッピーはどこで飲んでも同じ味か、それとも微妙に違うのか。結論を出すのには、もうすでに酔っぱらっていた。

↑タン、ナンコツ、カシラ、塩焼きだね。

ししとう、レバ。タレは、やや、甘め。

↑シロは、身に厚みがあったな。

東海道線に乗って、座ったと思ったら爆睡で一瞬のうちに東京駅に着いてしまった。お昼を江の島で、藤沢で一杯飲んで帰るこのコース、日帰りで今度また来ようと思う。

↑数年前に万年筆を買ってから、日記代わりのメモを書くようになったし手紙や葉書もたまに書くようになった。旅先で絵はがきを書いて出す楽しみを知った。それにしても江の島は、よかった。