客の顔を見てから焼く、近江屋のさば定食

やっとまた、食べる事ができた。本の街、神保町交差点からほど近い夫婦でやっているカウンターだけの小さいが、これぞ『めしや』の近江屋。

↑神保町交差点キムラヤ側をJR水道橋駅方面に少し行き、キッチンクランの左奥(人がいつも並んでいるのが大盛りの中華で、その先)

昼飯の神様がいて「おまえ、そんなにここのさばが好きなら、一生、お昼にここのさば定食を食べ続ける事ができるのか」と言われたら「はい、もちろんです。サイドメニューの中から毎回好きなものを選べるなら、これから先、一生お昼は近江屋のさば定食で十分です」と即答できるくらい好きなんです。神保町に勤めた事はないが、仕事で立ち寄るのがきっかけでここの味を知り、その後はちょうど乗り換えの駅でもあったのでずっと通い続けていたが、昨年からの事務所勤めでまったく来れなくなった。
半年ほどたって、平日お休みだった時いそいそと出かけた。その時も「心配してたんですよ。身体でも悪くしてないですか?」とおばさんに優しく言われ、涙が出そうなくらいだった。それからまた、半年以上経って行くと「久しぶりですね。お元気でした」そしてすぐに、当り障りのない天候の話、今年の夏は暑かったねと心遣いを受けた。焼き上がったサバの写真を撮ってると強面のおやじさんに何か言われ、写真撮ってる事を怒られるのかなと思ったら「麹町は、もう慣れましたか」とまた、ぐっと来るような事を言っているのだ。暖かいなぁー、二人とも。

↑大量の大根おろしがたまらない。切り干し大根の煮物もいいのだが、写真を取るので彩りでほうれん草ゴマ和え。

焼き魚メインのここの方針は、客の顔を見てから焼き始める真っ当なもの。当節、当たり前の事を律儀に貫いているお店も多くない。9月から10月半ばまでだろうか、生サンマの塩焼きしてくれるが、これも、客が頼んでから塩をふりかけじっくり焼き上げる。貴重な勤め人のお昼の時間、食堂には稼ぎ時のこの時間にもじっくりじっくり焼き上げる。
それともう一つ、ここのご飯は銅のお釜で炊き上げている。炊きあがる時間に電話をかけて来て御こげ入りをリクエストして駆けつける客もいたのには驚いた。飯は、大盛りおかわり無料である。素晴らしき『めしや』だ。