裏切りのサーカス

movie_kid2012-04-28

007とは、まったく正反対の映画。同じイギリスの諜報部の話であるにもかかわらず、派手なアクションもなくうっとうしい灰色の曇り空と地味な色合いに埋もれるおやじ達の攻防なのだ。冷戦時代のスパイの姿を、当事者のスパイが超リアルに暴露した原作をテレビドラマ化して人気をはくしたものの映画化。
本物のスパイのエピソードが満載のこのドラマを、盛り込める量の小さい1本の映画にすることはとても難しかったと思うが、前作『ぼくのエリ 200歳の少女』で世界に認められたスウェーデントーマス・アルフレッドソン監督の起用が成功している。複雑な関係とエピソードを整理する能力より、その世界観を映像でつくり上げることができたからだと思う。今までの役柄とはまったく違い意表をつくゲイリー・オールドマンが、鈍く鋭く光っていたのは言うまでもない。