ヒューゴの不思議な発明

movie_kid2012-03-07


マーティン・スコセッシ監督は、映画がマジックとばかりに1930年代のパリの街を縦横無尽にカメラが動き回り、飛び出し、飛び込んで行くオープニングに圧倒される。観たばかりのヴェンダース監督もそうだが、3Dという媒体をだんだん才能のある監督たちによって映画の特性と一体化させ可能性が広がりはじめたようだ。パリの駅舎の存在感や貴金属の時計人形にいたるまでの質感と感触が、3D映像によってしっとりと馴染んでいる。駅の群衆や、機関車の突進して来るのに思わず身体をよけてしまうが、映画の黎明期でもはじめて動く映像を見た当時の人達と同じような状態になっていて、スコセッシ監督は、さぞニンマリしているだろう。ただ、どうも物語の盛り上がりに手放しに喜べない気がした。映像の盛り込み方と比べ、ストーリーがぼんやりと大味に感じてしまった。観終わって、あまり余韻が残らないのはそんな所が、原因だろうと思った。