ひとり飲みで再認識した、水道橋『うけもち』

次の日、水道橋の『うけもち』に行った。歩いてもすぐの神保町は、以前に飲み友だちの事務所もあったり、乗り換えの駅で大好きなサバ焼き定食屋の『近江屋』があるのでよく立ち寄る街だった。雑誌に載って紹介された『うけもち』にも開店当初から飲みに行っていた。状況も変わりあまり立ち寄る街でなくなったが、昨年にかつての仕事仲間の編集者と会った時『うけもち』で飲んで、ここはいい店だなぁーとあらためて思った。ぜひ、ひとり飲みで来てみたいと思っていたけにちょうどいいタイミングだった。

↑ひっそりと通りから奥まった所にある『うけもち』。同じ立ち飲みとはいえ、先週行った上野『たきおか』との店構えの違いに驚く。どちらが好みかと聞かれたら言うまでもないなぁ。
飲み友だちと来ていた頃は、どうしても時間的に遅くなり、好きな刺身類などは早々になくなっていて肴が残り少ないことが多かった。今日は、そんな心配もない営業開始の17時を目指して行ったらすでに先客が一人いた。それでも、がらんとした店内の立ち心地のよい場所に生ビールと肉豆腐を置いて飲みはじめた。はじめに3千円払って、カードを買う。この店は、飲み物、つまみ類すべて300円の店で、カードを買えば10点プラスおまけひとつ付く方式。一度に、使い切ることはないだろうがおまけが付くのが嬉しいではないか。

↑おでんにもこころ惹かれつつ、ぐつぐつ旨そうに煮えていた肉豆腐にする。甘辛の濃いめの味が、肉と玉葱、豆腐に染みていた。カードは、一品や一杯もらうとハンコがおされる。

↑自分の飲んでいる場所まで、一升瓶を持ってきて注ぐ強者もいるが、レジ横の焼酎コーナーで入れておそるおそる運ぶと、今の自分の酔い具合がわかるのだ。
焼酎のロックは、氷入りグラスを渡され自分で好きな銘柄の焼酎を選び自分で入れる方式。たっぷり入れたいのが山々だが、もちろん、こぼすのは厳禁だ。焼酎と一緒に、黒板に書かれている今日のおつまみのカンパチ刺身をたのんだ。おもむろに冷蔵庫から、そこそこのサイズのカンパチを丸々一匹出して捌きはじめた。まさにこの時間ならではの、おろしたての新鮮なお造りだ。
店内も木を使った簡素なつくりでセンスがよく、料金や酒を出すシステムも築地で仕入れる魚介の料理も質実剛健で、とてもいい。テーブルの真ん中にいろりがあり、ちゃんと炭に火がおこしていて冬場だから暖もとれ、干物を焼いてアテにできる。

↑透き通るほどの捌きたてのカンパチ刺身。ぷりぷりとして、もちろん、声を大にして旨ぁ〜い。

↑この後、べつの客がこの網で飛び魚の干物のアゴを焼いていた。いい匂いが漂い、この匂いだけでも酒がすすむほどだ。飲み過ぎてしまいそうで、今回は焼物はやめておこう。
30分も過ぎると近所のサラリーマンだろうか、スーツ姿の年配の方々が集ってきた。皆さん慣れていらっしゃるので、身のこなしも軽やかにテキパキと酒とつまみを取り揃え飲みはじめた。時間も早いからだろうが、飲んでる皆さんに品があるのもこの店らしいのかもしれない。店長の1本筋の通った方向性を感じながら、美味しい酒を飲ませていただいた。

イカ納豆は、湯がいたゲソも入り、ちょっとした香辛料の香りもして複雑な味になっていた。

↑ホタテの稚貝の煮物。薄味の汁に旨味がとけ込んで、それをすすりながら焼酎のロックを3杯目で終了。平日のひとり飲みは、この程度がちょうどいいのかもな。明日は、仕事だ。