ハードロマンチッカー

movie_kid2011-12-01


暴力を主体にした映画に魅力を感じるどころか、どちらかといえばもういいかなと思ってしまう。とは、いえ個人的な小さい暴力からはじまって、組織的、日常的に社会にはびこるものや国単位の戦争に至るまで、こと人間の表現においては切っても切れないものであるし、避けて通るというより映画はバイオレンスそのものでさえある。ハードロマンチッカーの予告編の映像は、そんな凶悪な暴力をぷんぷんさせながら、その痛みさえ感じさせる力強さに引きよせられて観てしまった。松田翔太が、よかった。単に、暴力的だけだったとしたらこんなに強くひきつけられる映画にならなかったと思う。下関と小倉の在日韓国人の世界、暴力にどっぷりと浸かったヤクザと予備軍の世界、そんな中で収まりきれずに生きる若者の姿が、強烈に描かれていた。立ち姿でなみならぬ存在感を演じるその凄まじさは、父・松田優作にだぶりながらも違ったところで純化させているふうにも見えた。すでにファンになっている龍平ともども松田翔太が楽しみだ。ところで、原作も監督もこなしたCMクリエーターの肩書きを持つグスーヨン監督、ただ者ではないのをこの映画で知った。