モールス

movie_kid2011-09-03

味わい深い、映画だ。バンパイヤものでありながら12歳の、子供でも大人でもまだない、不思議な年頃の純愛が描かれていた。原作のスゥエーデンで映画化された『ぼくのエリ 200歳の少女』は、残念ながら見逃していたがそのアメリカ版リメイクだ。リメイクから観てしまう事に、躊躇するところでもあったが、主演の2人が『キック・アス』のヒット・ガールだし、『ザ・ロード』の健気に父と旅を続けたあの子だし、『扉をたたく人』のリチャード・ジェンキンス、そして刑事役イライヤス・コティーズなどベテランが脇を固めている。それだけで、迷わずに観に行く事にした。
ヨーロッパのものを無理矢理、ハリウット的にリメイクしたのではないのが、最初のシーンからすぐにわかった。アメリカらしからぬ、不穏な陰鬱とした雰囲気が出てるのだ。プログラムで確認すると、最初の映画化から物語の根幹は変えずに、あえて純愛といった形をとり、吸血で得る永遠の呪われた命と、それを支える悲運の人生の破滅に焦点をあてている。純愛を貫く事で、失われる代償があまりにも大きい最後のシーンも、観る人の考え方で変わってしまうほど、余韻が残るいい映画だった。