一枚のハガキ

movie_kid2011-08-20


素朴な映画だ。凝った味付けをしなくても、素材の味が充分活かされている極上のご馳走のようでもあり、命をつなげるコップ一杯の水のようでもあった。映画を撮り続けてきた98歳の監督の作品は、やっぱり、直球の重い球だった。素朴でいながら、ぐいぐいと物語で観客を引っ張って行き、最後の最後まで、ゆるまないその力強さに圧倒された。若干の海外のマーケットを意識したサービスも感じられたが、それもご愛敬で、主演の2人はもとより名だたる役者たちが、ほんのワンシーンでもいい味を出していた。日本が、愚かな戦争をして負けたあの時代を真正面から捉え、人間の性根を厳しく、あたたかく描いていて、やっぱり、涙が流れた。