ビューティフル

movie_kid2011-07-02

ガンの告知受けた、死に行く男の物語。死を受けとめる重さと、貧困の都市生活、貧しきものはより貧しきものから搾取される構図と苦しみ。精神を病んで結婚の破綻した妻と残される二人の子供達への愛と不安。目を背けたくなる物語の先に、人としての美しさを見いだされて行く、美しい映画だった。監督が若い頃に黒澤明『生きる』に影響されたそうだが、がん告知以外はアプローチの仕方がかなり違う。
こんな重苦しい題材を、渾身の演技で貫き通したハビエル・バルデム(あのおかっぱの殺し屋)に圧倒された。死までに至る苦悩の表情から、肩の荷を降ろしたようにほっとゆるむ顔を見せるまでに導くのが、若くして死んだ父親で、当時青年の姿の父親が苦悶の我が子をやすらぎに導くシーンに涙する。苦しみの先にやすらぎもきっとある事を示唆されたように思え、勇気と力を感じた。
40歳以上の男子、必見(映画小僧は2度観たぞ)人生の指針となる映画だ。