ブラックスワン

movie_kid2011-05-28


手持ちカメラで、常に寄った画面映像が最初から気になった。バレーダンサーに扮するナタリー・ポートマンのこの筋肉がこんなふうに動いてます、といったようなことが手にとるようにわかるほど、カメラが近づく。そして、役作りとはもはや言えないくらいにリアルにダンサーのからだになってる事に驚きと美しさを感じる。
監督のダーレン・アロノフスキーは、前作『レスラー』でミッキー・ロークをプロレスラーに仕立て上げ、その命までも燃えつくさんばかりのリアルさに迫った。この『ブラックスワン』も同様に肉体の全てに至るまでダンサーになりきったナタリー・ポートマンが、プリマドンナの頂点で舞台に立つ所の精神的な恐怖までも同時に観客に味わわせてくれる。
ナタリー・ポートマンに近づき、果てはその内面にまで入り込み、ダークサイドのとてつもないパワーを手にするまでをも体感させる映画だ。ナタリー・ポートマンの不安げな眉毛と端正な容姿を見ているだけで、はらはらと心配で動揺してしまい、果ては、涙ぐんでしまう自分に情けなくも思いながら、ホラー的と言えるぐらいの演出の痛さ恐さにからだを硬直させてるしかなかった。