メアリー&マックス

movie_kid2011-05-08


ストップモーション、アニメーション映画。チェコで創られていたアニメーションがこのジャンルの師とするものだからその世界観も登場人物の造形もかなりダークな世界だ。しかし、そこにこそあらゆる意味で人間の奥深さが表現できている。今時の言い方をすれば「キモかわいい」キャラクターで、この映画もその範疇に入るのだろう。
オーストラリアに住む少女とニューヨークに住む自閉症の肥満の中年男と生涯をかけた文通による、友情の物語。どちらかと言えば変なエピソードに彩られた文通なのだが、その変なさ加減とダークな世界観が相まって面白いのだ。
中年男の声を、曲者俳優フィリップ・シーモア・ホフマンだった。しかし、彼のイメージがまったく出て来ないほどにアニメのキャラが濃いし、やっぱり、声のあて方が上手い。
根底に流れるのが純粋な友情の物語でひたすら美しく優しい。実話のアニメ化なのだが、こぎれいに創られたのではないこの手法で、音楽の使い方や演出方法も含め素晴らしい出来に仕上がっていた。