冷たい熱帯魚

movie_kid2011-02-11


えげつなくて、あけすけ、エロでグロでホラー、強烈に怪演する登場人物たちのパワーに、とにかく面食らう。祝日とはいえ雪の日に、新宿テアトル昼の回は満席で立ち見が出た。とにかく、この強烈さを耳にしての人気だとは思うが、園子温監督の評判は、何となく聞こえ知っていながら作品を観るのは初めてだ。予告編を見て直感的に観ることにしたのだが、ドライでさらりと、えげつないものを見せられた。韓国映画的なシャープさと重さがあると言えばよいか(韓国ドラマではないですよ)掟やぶりでここまでやるか的な感じもあった。
血の見せ方も度肝抜かれるが、それを日常感覚を残しながら見せつけられるとゾクリとくる。人の本性のおおいをかなぐり捨てると、エロとグロになってしまうのか。
今の日本人は、精神的にも肉体的にも、痛みがわからないくらい病んでしまっているのだと真っ向から言われたような映画で、同じ犯罪映画、たとえば今村昌平監督の「復習するは我にあり」の観終わった後の重さと似た感じを持った。今の邦画で、ここまで濃くて重い映画を撮れる監督もあまりいないのだろう。