ナイン〈9番目の奇妙な人形〉

movie_kid2010-05-23

「目覚めると、世界は終わっていた」
こんな悪夢のなかに一人ぽつんと息を吹き返した所から始まる。その世界の終わりは、ダークな世界そのものでそこらから身の危険を感じながらも「自分は誰でなんでここにいる」湧き出る疑問と少ないながら自分と同じ仲間がいる事で生きる衝動に前進する。その主人公達は、人間ですらなくぼろの麻布とがらくたで作られた人形達。デジタルアニメーションは、そんな生き物ですらないものに暗くて不気味な世界の果てで、人間臭い個性のぶつかりと感情表現をさせ、唯一ながれる歌『オズの魔法使い』劇中歌『OVER THE RAINBOW』の音楽と共に〈愛と知恵と勇気〉をひたすらに守り抜こうとする姿を描く。
11分の短編アニメーションを、テム・バートンが絶賛したことで長編映画として生まれ変わったものだが、とてもファミリーアニメの国アメリカからで出来たものとは思えない。日本アニメはもとより、ヨーロッパ・東欧のチェコポーランドなどのアーチストの影響を受けている様で、論じて指摘も出来るだろう。長編になった事で、ケチをつけるレビューも目にしたが、まったくそんなものを跳ね返すだけのスピリッツを持った素晴らしい映画。この世界観と9体の人形と心を持たないイコール、悪意の機械に魅了され、そして、感じ考えさせられた。