ウルフマン

movie_kid2010-04-25

アンソニー・ホプキンスとベネチオ・デル・トロの競演となれば観ないわけにはいかない。今更の『狼男』のリメイクとなるとどうかなとは思いながらだったが、ベネチオ・デル・トロが登場すればそれはもう100年前の人物を演技で表現している凄さ。粘り着くようなその眼差しの奥に人の持つ弱さ、恐れ、疼き、怒りがこぼれ出て来て、満月の呪いに取り込まれる男を演じる。古城に住む父親は、まさに何もかも吸い取ってしまうような漆黒の懐の深さのアンソニー・ホプキンス
と、盛り上がって来たところでその狼男の変身後が、なんだかバランスが悪く途端にかっこわるくなるとでも言えばいいのか。その姿までをちゃんと見せる演出はわかるのだが、最後の所でこれでは、名優の演技の積み重ねも何もぶちこわしているしかないと思うのだけれどどうだろう。ポルノではないけれど、見せればいいものでないと思うよね。多分、今時の観客は、全部見せないと満足しないんだろうな。