隣の家の少女

movie_kid2010-04-04

この映画を観て直後は、意外と冷静に感じてはいたが、だんだんと気分の落ち込みと気怠い感じが強く残った。ジャック・ケッチャムの小説を未読のまま映画を観たのだけれど、原作の存在感を強く感じる映画だった。デジタル撮影の色と動きにやや難はあったけれど、全体に抑制が利いていて、意外にするりと観ていたような気がする。あまりにもストレート過ぎるほどの展開に、一つ一つが重く深い人間の暗闇が暴かれていき、人間の残忍さと犠牲にされた者の恐怖と無念と痛み、その間に立ってしまった主人公の回想の物語に否応無しに引きずり込まれる。時を経て回復するどころかますますその痛みに逃れようもなくなる。そんな所が、どろりとした倦怠感を感じさせ、数日たっても気分を落ち込ませる。原作はもとより、映画にもしてやられてしまった。