ナイン

凄みすら感じる、女優達が歌い、踊り、演技すればするほどその中心にいる天才映画監督に扮するダニエル・デイ=ルイスがもうひたすらに格好良いのだ。女優たちのショー仕立てとはいえ下着同然の際どい衣装で、あられもない格好のポーズを取りながら下品さが微塵も出ていない。その肉体と容姿は、まさに美しく、内面から歌と共に溢れ出る美にもただただ酔いしれるしかない。そんなゴージャスな女優達が束になって向う先が、ジレンマに陥った映画監督で、本人の妄想の産物でありながら全身で受け止めている。あげくに、逃げ出して、どんどん落ちて、どん底まで行ってから、再び映画を撮り始めるのだ。そこには、映画の女神達が微笑んでいるのだった。うぅ〜ん、痺れる。