フローズン・リバー

movie_kid2010-02-14

女性が、女性を描くとこんなに厳しいのかと驚いてしまった。貧しくて、追い込まれ崖っぷちに立ってしまった、まだ、小さい子供の持つ母親。不甲斐ない亭主が、わずかばかりの金を持ち逃げして、途方に暮れ涙を流すこの女の肌は生活につかれ不安な未来の黒いシミに覆われている。貧困映画の秀作“敗者三部作”で思い出すのは、フィンランドアキ・カウリスマキで、人生のどん底にいる男の姿はどこか滑稽に見えてしまうものだが、女性の場合はなんだかいたたまれなくなってしまう。男でも女でも人間を見つめ洞察するのは同じだから、こんな事を言っている自分がアマアマなんだろう。ニューヨーク州と言っても最北端、先住民族のインデアンが最後に追いつめられ今でもモホーク族の保留地として独自の法律とルールで成り立つ最果ての場所に貧しい白人も追いつめられ、携帯電話やテレビを奪われる事と同じように、極寒の地では貧困と死は隣り合わせの怖さがある。凍ったセントローレンス川の心底寒々とする映像が、この映画を支えサスペンスとドラマを際立たせてもいる。それにしても、こんな厳しい場所にもっと貧しい国から不法入国と就労に来ている人々がいて、何もこんな所にと思ってしまう。それも女性で子持ちとなれば、もう、男は何にも言えなくなる。