チェンジリング

movie_kid2009-03-08

大きく、2本の柱で映画は成り立っていた。
身の毛もよだつ犯罪と、警察権力が保身のために真実をねじ曲げること。
その二つのあまりにも強力なパワーの
矢面に立たされる女性を演じるアンジェリーナ・ジョリー
イメージを覆して、我が子を失う不幸とその後に続く苦痛の日々を
一身で受け止め、立ち尽くし、この悪敵に正義で立ち向かう。
アンジェリーナの姉御が、スレンダーでか細く、弱々しくさえ見え
逆にその厚い唇と大きな目が、悲しみの深さと芯の強さを際立たせてた。
1928年という時代、天使の街と言われたロス・アンジェルスの犯罪と腐敗への変貌
その土地の空気感、それらをすべてひっくるめて現実に起こった事件と向合っている。
まるでホラーさながらに、観る者を恐怖のどん底に叩き落とすダークな物語を
感情に流されず、大げさに誇張する訳でもなく、埋もれてしまうくらいの過去の話でありながら
すぐにでもまた、こんな恐ろしい事が起こりうると観るものに更なる恐怖を伝える。
これだけ重い話であればあるほど、最後の最後まで緊張感を途切らさない
クリント・イーストウッド監督、アクション俳優から出発して長年映画を背負って来た事で
悟ってしまった様な、次元の違い、高みを感じるほどだった。
カメラの向こう側から、再び主演も兼ねる、新作『グラン・トリノ』ますます、楽しみだ。