花の季節は、移ろいで

仲が良かった高校の先生の年賀状には、定年が近づく数年前から、毎回、書かれるコメントがあった。
「あと何回、忘年会にでることができるのだろうか」
自分も50代の半ばを越えた年齢になり、何となく、先生の気持ちがわかる気がする。
僕の場合は「あと何回、桜の花の下で旨い酒が飲めるだろうか」と、いったところになるだろうか。
今年も、早咲きの桜から始まって、染井吉野、八重桜まで、たっぷりと楽しんだ。桜に惑わされた、3月、4月も終わろうとしている。
今は新緑がきれいな季節で、気候もよく、ますますアウトドアが楽しい時期になりながら、桜の花の終わった喪失感もちょっぴり残っている。
先生、今は非常勤講師となり、楽しみだった忘年会には、もうでることもなくなっているのだろうか。

↑上野公園の桜の通りと動物園入り口、噴水広場の道が交差する一等地で、おじさんが売店を出している。

↑ほんの2週間ほど前で、だいぶ様相が違うが、どちらがいい、の問題でもない。季節は、移ろいで行くということなのだ。
あの上野公園の熱狂も、新緑の今は落ち着きを取り戻しているが、相変わらず、外国人の旅行者もたくさん押し寄せているし、ゴールデンウィーク中はまた人で溢れて、公園内のスターバックスで、落ち着いてコーヒーも飲めないだろう。
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花見のこともブログに書きたいと思っていたのだが、桜は咲き始めると待ってくれない。土日はもとより、時間を見つけてはせき立てられる様に、おつまみ弁当をこしらえ、酒と一緒にリュックに入れて桜を求めて出歩いてしまい、結局、書く時間などないままに気がつくとゴールデンウィークになっているといった具合だった。
毎年続けている、飲み友達との花見も楽しかったが『ひとり、花見酒』にも、何度も行っている訳だからネタも写真もたっぷりある。だた、桜のこととなると、ほんのひと月前のことなのに随分前のことに思えてしまい、それを蒸し返して書こうという気がどうしても起きて来ない。
桜は、咲くまでを待っているのが、楽しいのだと思う。
散ってしまった花を想うのでなくて、来年の春にふたたび咲くのを待ちわびるのがいいのだろう。
それが、まだ本当に先のことだから、今のところは花のことは忘れていたいと思う気持ちが働いているのかもしれない。
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↑以前は、風のために営業していなかった葛西臨海公園にある大観覧車。あっ、やっていると深く考えずに、気軽に乗ってみることにしたのが運の尽き。ゆれるゴンドラが、徐々に高度を上げて行くと腰に力が入らなくなりジンワリと冷や汗が滴り落ちた。ドキドキの17分間の空中散歩。

↑東京近郊で、海の景色を気軽に楽しめる葛西臨海公園。野鳥の楽園もあり、散歩気分で、バード・ウォッチングも出来る。最近、回遊するまぐろが死滅してしまったとニュースになっていた水族園に、今回は行かなかった。
花見がきっかけで、また公園野外飲みがマイブームになりつつある。
日本酒や焼酎ではなく、赤ワイン1本を軸にして、自作の料理をつまみながらパンも食べる。ワイン・ピクニック・ランチとでも、言えばよいか。
これをアベックや家族連ればかりの公園の原っぱで、ひとりでやっているのだから、ちょっと変わっている風に思われそうだけれど、こちらも、ひとり飲みには年季が入っているのだ。
この日曜日に、久々の葛西臨海公園に行き、初めての大観覧車に乗り改めて自分が高所恐怖症なのを実感した。眺めは、凄くよかったが、同時に肝も冷やしたからか、すっかりお腹も減ったところで、日陰が必要なほど晴れて夏日の海が見える原っぱで、ワイン1本の優雅なランチタイムを楽しんだ。(4月26日飲)

↑赤ワインに合う料理のレパートリーもあまりないのだが、鶏もも肉のオリーブオイル焼きと、マカロニサラダ。パンにつけるのは、コンビーフとジャガイモで作ったパテ風のリエット。今のところ、ワイン一本が、ランチのほろ酔い気分でちょうど良い(酔い)感じ。ちなみにワインは、フルボディーで千円台の赤で選んでいる。