アウトドア

もともと、外で酒を飲むのが好きだ。
この場合の外とは、外出先ではなく、文字通り野外でという意味。昨年は、休みに昼間から景色のいい公園に行って酒を飲むことに開眼した。
今年は、その楽しみもデング熱のヤブ蚊騒ぎで、水をさされた。代々木公園には、一度ぐらいしか行ったことがなかったが、都内の公園などのヤブ蚊が多い場所では可能性がない訳ではないだろうから、やはり公園で長く座っていることは控えていた。
そのかわり、通っているスポーツジムが上野に変わったことで、上野公園内のスターバックスによくコーヒーを飲みに行くようになった。日曜日に有楽町や日比谷で映画を観ると、雨が降っていない限り、日比谷公園内の日比谷茶廊のオープンテラスで、琥珀エビスの生ビールを飲んでいる。ここは、夏場は、足もとに蚊取り線香が置いてある。
木々や草花の緑のある開放された場所では、コーヒーもビールもとても旨い。冷え込んでくるこの時期でも、年内はアウトドアを楽しみたいと思っている。

↑上野公園内のスターバックスは、木をふんだんに使ったログハウス風。それも、東京都多摩の木材使用だそうだ。

↑紅葉は、ゆっくりゆっくりと進む。

↑外の席用に、ストーブも完備されているので、たぶん、ここは冬でも大丈夫だ。
ジムは定休日だったが、今朝は仕事の前に上野公園まで家から30分歩き、公園内の紅葉を見ながらコーヒーを飲んだ。
昼間は仕事をしていたが、今日は金曜日の週末だ。終わるのが少々遅くなったが、一杯やって帰ろう。
とにかく、腹が減っているので、立ち食いの寿司でもつまんでと思ったら、22時の閉店で看板の灯りが消えていた。これから新宿に行くのはとても無理だから、たのみは築地・駒忠で店に行ってみると、外から中を見ただけで、満席なのがわかった。とにかく、当って砕けろと店内に入ったが、申し訳なさそうに店のお姉さんは「いっぱいなんです」と言うので、入る前に外のテーブルに気がついていたので、とっさに外でもいいですよと返した。
来週は、もう師走に入り寒くなってくる時期ではあるが、今夜は、まだそれほど冷え込んではいない。上野公園のモーニングコーヒーと、夜にまたアウトドアが楽しめるのだ。

↑空きっ腹を抱えて、足早に『築地・駒忠』に向かった。安くてたいがいの居酒屋メニューを取り揃えていてサラリーマンで賑わうお店で、市場が近い場所柄、やっぱり魚関係が旨いと思う。
秋の深まる夜空を見上げながら、燗酒をやるのもオツなものではないか。
それにしても、からだ半分、歩道に出ている格好で、通行人に肩や背中が触れてしまいそうだ。この季節に外でまで客が溢れるほどに混んでいるのかと通る人々が目を丸くしている。
外でぽつんとひとり座り、中を見ると、なんだか疎外感のようなものが、沸き上がってくる。教室から追い出されて、廊下に立って恨めしく中の授業をのぞいている感じと言えばいいか。
それでも、大徳利を1本飲む頃には、からだも中から暖まってくるし、とにかく解放感が素晴らしい。入り口の外にあるこのテーブルが、いとおしい空間にも思えてくるのだ。
店のおかみさんも、申し訳ないですねと、外にまで出て言ってくれ、一杯どうぞとお酌までしてもらった。

↑いとおしい、マイ・テーブル。見事に、からだ半分歩道に飛び出していた。

↑自分では、なかなか楽しく飲んでいたが、たぶん、通行人の目からすると少し異常に映っていたかな。立ち飲みだったら、外への飛び出しは、良くある風景だが、普通の居酒屋となるとちょっとね。記念に自分撮りしても面白かったかもしれないが、そんなことしている姿がアホらしいのでやめた。
シメさば、つぶ貝の刺身、わけぎヌタを食べていたが、ここはもう一品、とっておきの厚焼き玉子を注文した。
ひとりでこの店に初めて来た時、なにげなしに玉子焼きと注文したら、とてつもなくジャンボサイズで、驚く一皿と同時に持ち帰り用の容器も一緒におかみさんは出してくれた、曰く付きの料理。確か半分も食べられなくて、ほとんど持ち帰りになってしまった。
やや甘口で、Mサイズの玉子を7個も使いふっくらとした玉子焼きだが、その後は、さすがにひとりの時に注文することはなかった。それが、最近、ハーフサイズとメニューに載っているのを発見した。
嬉しいことに、半分の玉子個数で焼いた訳でなく、通常のジャンボの焼きたてを半分にしたもので、ふんわり熱々だった。
帰り際、おかみさんにハーフができてひとりで来ても玉子焼き食べることが、やっとできたよと言ったら
「それは、ようござんした」と、気っぷの良い言葉が返って来た。
やっぱり、この地は、市場の町、築地だなと思った。(11月28日飲)

↑ハーフサイズの厚焼き玉子。この半分は、どうしているのかとおかみさんに聞いたら、心配しなくてもちゃんと活用しているから、と。