土用、丑の日前に『カブト』で、夏バテ対策


自分の知り合いにも『ひとり飲み ペーパー版』を郵送し、反響も少しずつある。「お祝い」と言って、日本酒の一升瓶やふるさと和歌山の桃が届いて驚いたり、ブログへの書き込みも増えたりと、嬉しい。
ブログとは、違った意味で実感があって、紙媒体の底力を感じた。
暑い夏が、やって来た。
自分の体力に、自信がなくなると、早いところでうなぎを食べておかないと、と毎夏に思う。自分にとって、うなぎと言えば『カブト』の串焼きだ。焼酎を飲んで、串焼きを齧れば、夏をのりきれるといった思い込みがある。

↑金曜、夜の横丁は、昔から変わらないおじさん達の憩いの場所だった。少々、待つくらいは何でもないが、うなぎの品切れがちょっと心配。
土曜日の仕事が続いていて、新宿・思い出横丁に行くタイミングがつかめない。来週が、土用の丑の日とあって、金曜日の仕事場でFMラジオのJウェイブから盛んにうなぎに関する情報が流れている。
もう我慢ができぬ、今夜、行くべし。
新宿に駆けつけてみると、すでに19時も回り、花の金曜日で横丁もサラリーマンのおやじ達で賑わっている。『カブト』も案の定、満席状態。
少し待つのはいいとしても、うなぎが無くなっては、意を決して駆けつけた気持ちがおさまらない。考えてみると、この時期の日本ではうなぎの流通量も一番多い筈で、完売終了とはならないだろう。

↑25度の芋焼酎だって、暑い中で冷えていると、クイクイ飲めてしまう不思議。
焼き台横のはしの席が空いたので座り、ビールをとにかくグイグイ飲む。炭火で焼かれるウナギが、目の前で見える良い席でも、風向きの加減もありかなり暑いところ。一番はしの席だからいいけれど、焼き台の真横は、直接、煙までかぶってしまうほどの暑さ。
だからこそ、この臨場感でウナギの旨さも実感できると言えなくもない。
「はじめは、元気よく食べ飲み出しても、この時期のお客さんは、すぐに黙ってしまうよね。長居できずに、サッと帰ってしまうよ」
夜のこの時間だから、おやじさんから変わった娘さんが、汗をたらし焼きながら話していた。
実際に立って、焼いているのが一番暑い、と思う。そんな熱気に弱腰では、夏は乗り切れませんとばかりに、7本のひと通りに「マル塩」と「マルたれ」計4本追加してしっかり食べて、芋焼酎もきっちり3杯飲んでしまった。

↑ひと通りは、全部をたれで食べたので、追加は塩味で食べたくなる「マル塩」

↑今夜は、まだまだ、うなぎが食べたい。塩で食べた「マル(うなぎの頭)」を、今度はたれで食べる。「マル塩」が定番だったが「マルたれ」も旨いのだ。本日は、勢いに乗って合計4本の追加だった。
うなぎを食べたかった気持ちのままに、暑さを乗り切り飲み食いして満足した。
横丁も、ますます行き交う人で溢れている。ここは、締めのハイボールを飲もうと線路側の『みのる』へ。
そしたら、ここも大盛況で入れないかなと思ったら、荷物を置いていた一席を空けてくれた。ひとり飲みだから、何とかなるのだ。
残っていたカウンターのワンピースを埋めたようで、なんだか気分よくハイボールがのどを通る。先ほどまであの暑い中にいたので、冷たく泡立つハイボールが旨いのだ。

↑駅側の線路横の『みのる』。角の『但馬屋珈琲店』の地下になるようだが、吸い込まれるような階段を降りて行くと、どこか別の次元にたどり着いたような不思議な感覚がある。

↑ゆっくり落ち着いて飲むのではなく、客達のざわめきの中に心地よく漂っている感じで、ハイボールがするするのどに入って行く。

調子良く、おかわりを飲んでいたらすぐに決めている3杯を飲んでしまった。いつもなら、ここでやめておくかビールを飲んで終わりにするが、満席のままみんなが楽しんでいる中で、自分だけ帰るのも惜しくなった。
閑散とした店で、勘定と席を立ちにくいものだが、満員の盛り上がっている店から帰るのも未練が残る。4杯目のおかわりを注文したら
「3杯、過ぎましたよ」
さりげなく、店の彼女は言った。
いつも、3杯に決めていると言っているのだから言われて当り前だ。
「そう、今日は、5杯コース」と、客は勝手なものである。
そうなるのも、すでにかなり酔っぱらっている証拠で、翌朝、やっぱり反省するのだった。音楽を聞きながら帰った筈だが、何を聞いていたがまったく覚えていないし、聞いていた曲を調べて見ても記憶が抜け落ちていて思い出せず、どうにも情けない話だ。
まぁ、そこまで飲んだのだから、心の発散はできているし、うなぎもたっぷり食べたのだから少しは、元気出さないと。でも、やっぱり、朝からなんとも暑い。(7月25日飲)