『カブト』大盛況で、売り切れ続出

土曜日が、休みだと映画を観てから新宿・思い出横丁『カブト』でうなぎの串焼きを食べ昼酒飲むのが、ここ数年来のお楽しみだ。それが、仕事の関係でなかなかカレンダー通りに休めなくなったのでつらいところ。そんな仕事の土曜日に、やれやれと気分も沈みがちに仕事をしていたが、なんと18時あたりで終われそうになり一転して、顔がほころんで新宿に向かう事になる。

↑やっぱり、『カブト』に行くのは、映画を観た後の明るい時間がいいな。仕事から解放されて、飲むのもまたいいものだが、ビールをぐいっと飲むとため息とともに疲れがどっと出てくるのは、何とかならないものか。
19時前には、混雑する横丁を人をかき分け『カブト』に急ぐ。
時間的に焼き台は、おやじさんから娘さんに交代していた。
すぐに座れたが、ヒレが品切れで、エリ、キモ、かば焼の3種“ひと通り”セットになり、もちろん、レバ串は遥か前の時間になくなっているだろう。
しかも、すぐにキモもかば焼もなくなったため、エリだけではひと通りとも言えず、閉店1時間前にして品切れ状態になったのだ。

↑焼き台に立つ娘さんに「珍しいから、撮っておいたら」と、売り切れ短冊が下がった全ひと通りのお品書き。

↑自分なら、エリ1本でも残っていればそれを食べビールだけでも飲むだろう。入って来た客は、頭のところしか残っていないと言われたら簡単にあきらめて帰るひとも多かった。正直な話、1種だけなら、かなりさびしいけれどまったく食べられないで帰るよりはいいと思うが。
店員のSさんが言うには「先日、テレビで“思い出横丁”が取り上げられたおかげで、その番組には出なかったうちの店も客足が途端に増えて今週は平日でもこんな状態が続いているんですよ」との事だった。
「うちは、社長が取材にOKださなかったもんだから、僕がテレビ関係者に囲まれてなんとか取材させてもらえないかと詰め寄られたりもしましたよ」
実際に、画面に映らなくてもこんなに効果があるのかと恐ろしいばかりで、何かのきっかけで、ふと思い出すこの横丁に魅力があるからこそまた行きたいとなるのだろう。
「お客さん、大丈夫ですよ。マルは残っていますから」と、嬉しい事を言ってくれるので、追加のマル塩焼き2本注文する。
何やら、外が騒がしいと思い振り返って見るとなんとドレスを着た女性が店の前に立っている。それも、背中もかなり大胆に見せているし、むむ、この位置では前がよくわからん。

↑我が妄想の産物かと目を疑ったシーンだ。今から思えば、無理をしてでも外に出て確認すればよかった。残念。
なんとも『カブト』をバックに撮影をしている様子で、焼き台に立つ娘さんも「人の店で、なんなの!」と、怒りながら「男性の方々、注目!」とか、少しお茶目な事も言っていた。
どうやら、ゲリラ撮影のようで、もしかしたら外国人かもしれない。
ものの数分だったが、店には何の挨拶もないままで、いい具合に酔っぱらって来たこちらを更に、不穏な酔いに誘い込まれしまうばかりの珍事だった。
しかし、突然のつむじ風のように去ってしまうと、何事もなかったように客も落ち着いて飲み食いしてしてるのだからみんな肝が据わっている。
自分の妄想なのかと疑うような事がおこっても「新宿だからね」と、いった良いも悪いもごちゃ混ぜの混沌が、この横丁の魅力のひとつなのかもしれない。(4月19日飲)

↑仕事の疲れか『カブト』の大盛況に圧倒されたためか、もしくは、白昼夢のような女性の背中にやられて、芋焼酎は2杯止まりだった。映画の後の昼酒のように、のんびりと限度の3杯まで飲む事はできなかったのだ。