冬の秘密兵器

(11月25日)
師走の寒波による冷え込みが厳しいこの頃では、暑かった夏も遥か遠くの事に思える。
昔を思いなつかしむように夏の事を思い返すとやっぱり忙しい日々ばかりで、ゆっくり、のんびりする時間があまりなかった。
やっと休みの日曜日、楽しみにしていたのが、持ち帰りの寿司や焼き鳥などを買い込んで、銭湯で汗を流してからの自然公園での野外飲みだった。半分だけ水を入れ凍らせたペットボトルに芋焼酎を入れたもの、デイパックに入る小さいクーラーの中に入れておくと、買った寿司も冷えていたまないので一石二鳥。最初にのどを潤すビールも冷えていて、風呂上がりの幸せなひとときをプチ・アウトドアで楽しんでいた。
仕事の忙しさで、疲弊すればするほど憩いをもとめてか、例年以上に何度もひとり野外飲みを楽しんだが、さすがに秋風が吹きはじめると、冷たいものを外で飲むのも限界にきた。
そこで、秘密兵器のステンレス保温ボトルを買った。
燗した酒をつめることも考えたが、とりあえずお湯を入れ、別に芋焼酎をペットボトルに入れ、それにコップがあればいつでもどこでも、焼酎のお湯割りが飲める。いつもの公園のコースで、試してみたら、快適快適。明るい陽射しの下で、ほっかほかのいい心持ちを楽しめた。

ちよだ鮨寒ブリの旬の盛り合せ。お湯割りは、もちろん、お湯が先で芋焼酎(天狗桜)は、後から注ぐのが鉄則。

↑秋の野外飲みは、まだ、陽の高い午後がいい。ぽかぽかと、暖かい陽射しのもとで、いい気分。

一段と冷え込みが続いて、そろそろ都内でも紅葉が楽しめるようになってきた。
秘密兵器を使わない手はないと、セットをデイパックに入れ、日曜日の朝一番にまずは、好きな映画を観に有楽町へ行く。
映画が終わると昼時を過ぎていた。銀座のデパート地下でおつまみを調達する。千円ぐらいの弁当が主流だが、酒のつまみだからご飯は入らない。おかずを自分でつめる総菜屋にしたのが間違いだった。旨そうな照り焼き、鳥の塩麹焼き、キノコのサラダにアボカドとエビの和え物、容器に取り終えてみたら総額1、400円にもなっていた。やはり、デパートは怖い怖い。
思った以上に高くついて反省しながらも、その後、日比谷公園のベンチで飲み食いをはじめた。なかなか旨いじゃないのと、先ほどの反省とは手のひらを返したように、ほんのり酔い心地の休日をのんびり楽しんだ。
歩きながら色付いた紅葉を見過ごして行くのでなく、腰を落ち着けて眺めていると木々の味わいも深く感じる。噴水は、この季節だと寒々としてしまうが、身体の内側からほかほかで今は、平気だ。

日比谷公園の中にある『日比谷・茶廊』で、生ビールを飲むのもいいのだが、この時期なら、ハラハラと舞い散る落ち葉の下がいい。それも、暖かいお湯割り片手だものいうことなし。

↑ビルをバックに紅葉が、味気ないと見るか、それともそれなりに街中で楽しめると考えるか

ペットボトル1本の芋焼酎をゆっくりと飲み干し、1時間30分も座り込んでいた。後は、ふらりふらりとiPodで音楽を聴きながら皇居外苑と、リニューアルした東京駅まで散歩して帰った。
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12月に入ったら、途端に寒波が押し寄せてのんびり公園で、座っていられないくらい冷え込んで来た。もう数回、紅葉が残っているうちに冬バージョンの外飲みを楽しもうと思っていたが、残念ながら実現できずにいる。