本の街『うけもち』『いちこう』で編集者と酒を酌み交わし、そして新宿へ。


飲み友達のメールで『ひとり飲みブルース』についての感想が、失職中でありながら、焦りも感じられない飲みっぷりが、面白いと書いてあった。ゆとりなのか、または、その裏返しか、すれすれな感じがいい、と。ほめられているのか、あきれられているのか、とにかく読んでもらっているのが、励みにもなり、ありがたいところ。
しかし、こう見えても求職に関しては、かなり、焦っているんですよ。

↑新宿の食堂『富士一』が閉店して、昼時、新宿あたりでいるとご飯を食べる場所に困っていた。丼やチェーンの定食屋では、食べる気がしない。ふと思いついて、思い出横丁で食堂を検索したら『やぶ天』を見つけた。なか通りにある酒類の出さない食堂。焼魚をあらかじめ焼いてあるのが気になるが、魚とお惣菜の定食の店。サバ定食600円+ひじき煮100円、満腹になるそこそこの味だった。

今週は、知り合いのデザイン事務所に挨拶と称して、仕事を求めてますと宣伝しながら昔話をしてきたり、週末の金曜日、かつての長く月刊誌の仕事仲間だった編集者と飲む約束をしている。そんなのは、あたりまえと言われそうだが、僕としては前向きに前進しているつもりなんです。
その編集者のT岡君も、今は編集部から離れフリーとなっているが、同じジャンルのライバル誌の仕事をしているのだからこの業界は狭い。前の雑誌の編集長T岡(この書き方をすると2人は同性になるので紛らわしい)氏にも少し前に挨拶に行ったが、会社自体がもう経営的に危機の状態で、とても新たに仕事を外にたのめる状態でない。ライバル誌に仲間だった編集者が仕事していることだし、その編集プロダクションも知っているから紹介するよと、言われるくらい狭い業界なのだ。

↑以前は、神保町にある会社でも仕事をしていたし、新宿線・千代田線・JR水道橋の乗り換えの場所で降り立つことも多かった。『うけもち』は、開店当初に雑誌で紹介されて知ったが、食べ物も店の雰囲気も好きだった。はじめの生ビールとザーサイとオクラの漬け物風サラダ。

↑カンパチづけ。ちゃんと築地に行く仕入れで、冷凍物でない旬の魚を数日で売り切る方法、ちょっとしたものをおいしく出してる。

↑いわし刺身。基本的に、一人前の盛りは、ひとり飲みにぴったりだ。時間のある今、次回はひとり飲みで来ようと思った。

フリーとなった編集者のT岡君が、仕事しているのが水道橋で、久しぶりに神保町界隈で飲むことになった。5時に連絡を取り合い、早めに飲み始められるから『うけもち』に行くことにする。酒類、おつまみ、オール300円の立ち飲みで、シンプルで安い料金設定と店内の造りも簡素でセンスがいい。冬には、テーブルの一部が火鉢になっていて、小さな炭火にスルメやタコ、鮭トバの干し物なんかを炙りつまみにして飲める。何より、黒板に書かれてるお刺身、魚介類が均一料金の300円で満足のものが出てくるのだ。売り切れるのも早いので、飲みに来る時間が問題ではあるが。
『うけもち』は、安いだけでなく1本筋の通った立ち飲みで、来ている客も年配の人が多い。立ち飲みにありがちな雑多な感じがなく、狭い店内で譲り合いながら行き来して紳士的な社交場といえば大げさだが、久々に来てみて、大人の立ち飲みの雰囲気がしていた。
先に3,000円のカードを買い、これで、10品プラスおまけの1品(計11品)の酒もつまみもいただける。今日は、こちらから声をかけたので、このカードを僕が買い、後は割り勘にする。
T岡君とこの一年くらいのお互いの身辺話をしながら、現在の出版業界の厳しさやとても新規に切り込んで行ける土壌ではない状況の話になり、あわよくば仕事を紹介してもらいたいスケベ根性も途端に萎えてくるのだった。そうこうしているうちに、編集長のT岡氏も北区からわざわざ駆けつけてくれた。

↑焼酎のロック。氷入りグラスを渡され、カウンターの焼酎コーナーから好きな銘柄を自分で注ぐ方式。もちろん、こぼしてしまうのは厳禁。だけど、酒飲みならばぎりぎりいっぱい入れたいのが人情で、何杯目かの場合、自分の酔い具合も自覚できる素晴らしい方式。

↑サンマの味噌煮、あん肝。もうひとつ、スパゲッテーサラダも取ったのだが、写真を撮り逃しちゃいました。サラダは、病み付きになる味ですよ。

スタンプのカードもすぐに使い切り、後は、毎回300円支払いつつ飲んでいたが、ずっと立っているのもと別の店に行くことになった。本の街らしい、文士や編集者が集う老舗の居酒屋に行こうと三省堂横の『兵六』ヘ向かった。そろそろ、みんなが飲み始めるいい時間だから入れるかどうかの不安的中、満員のため入店不可。それではと考えて、秋も深まりつつあるので『いちこう』のおでんもいいかなと思いついて、行ってみるとこの店も大盛況だが、ちょうどテーブルがひとつ空いていた。
ゆっくり、腰を落ち着けて飲み始める。「カワハギ刺身」有りますの紙も貼っていたのでぐっと心つかまれそうになったが、今日はシメサバに。おでんも優しい薄味で、燗酒によく合う。

↑酒飲み語り合うには、素晴らしい居酒屋。残念にも、満席でした。

↑神保町の交差点、ひとつ裏道にひっそりと営業してる『いちこう』だが、店内は大盛況で、場所柄出版関係の人達も多いだろうな。

↑『いちこう』は、昨年の晩秋に飲み友達のI藤さんときていて、カワハギの刺身が旨かった。もう、あれから一年かと思えば驚きだ。その時にもシメサバがあり迷ってカワハギ食べたので、時間はたったが今回はサバにした。

↑上品と言っていいほど、優しい味の関東風おでん。辛子が、効くのもいいおでん屋の証拠。

↑僕は、気がつかなかったけれど『いちこう』のポテトサラダ、ごくごく普通でおいしかった。

2人は中央線で帰るので、新宿でもう一軒飲みに行くのは自然な流れというか、僕の強引なリクエスト。ゴールデン街もいいかなと話が出つつ、思い出横丁『みのる』で、角ハイボールを飲みたくなっていた。地下に降りると『みのる』の店内はイカの匂いに充満している。ハイボールのつまみだから、洋食系と思いきや、こんなオツなものまであるんだ。3人連れということもあり、匂いにつられてたのんでみたが、柔らかくソフトな一夜干しのイカ焼きが、ハイボールにやたらに合う。

↑朝、ジムで汗を流した後、新宿・思い出横丁『やぶ天』で昼飯を食べてから、渋谷に出て、神保町で酒を飲んで、再び舞い戻った新宿・思い出横丁。今日一日が、ここ『みのる』で完結した。

↑お通しのサラダは、もちろん、角ハイボールに合う。

イカの一夜干しなんてあったら、いくらでも、クイクイとハイボールが進み止まりません。で、何杯飲んだのか覚えてません。

今日は、昼飯を思い出横丁『やぶ天』でサバ焼き定食を食べて、夜も更けて、また新宿に舞い戻ってかつての仕事仲間と酒を酌み交わしている。3人よって文殊の知恵になるのかどうか、再び一緒に仕事をする作戦に話は盛り上がるが、終電間近で仕方なく、話もまとまらないまま散会となった。編集長のT岡氏は、翌日に息子と山歩きの約束だそうで、こんな遅くまで深酒して、朝、起きれたのだろうか。

↑楽しく酒は飲んだが、肝心の求職には光がささない。まぁ、そんなもんか。