再会の3人飲みも、飲食ビルや地下街より横丁が楽しい


今秋の檜原のサンマ祭りも、昨年に続きG野さんを誘いたかったが、自分の休職のこともあり何となく誘いそびれてしまった。プロのカメラマンだったG野さんは、かつて僕が長く仕事をした月刊誌の表紙の写真を撮っていたこの業界の大先輩で、かみさんのおやじさんと同年代だから、かなり年は離れていている。15年ほど前に、G野さんが地元である秋田のブナの原生林の撮影で森吉山にこもっている時、僕ら夫婦で遊びに行ったことがある。青森の白神山地から山続きの森吉の山は、ブナの大木が残り保護している地域で、山頂付近に宿泊も出来る管理施設がある。そこの管理人をしながら、ブナの写真を撮っていたG野さんは、東京に自宅もあり仕事もしていたが、ライフワークとして何年か雪のない時期に山で暮らしていたのだった。

↑映画を観てから、再会飲みの集合場所に行こうとしたが、まだ時間があるので、新宿三丁目のビア・パブで軽く1パイント飲んだ。観て来た映画を、思い返しながらノートに感想を書き、ひとり飲みを楽しむ。

↑新宿も土曜の夕方になると、激しいくらいに人が行き交う。最短の地下鉄駅の地下道は、雨の時ぐらいでないと使わないので、三丁目から集合場所の新宿西口交番前は遠い。それでも地下道よりは人ばかりの雑踏でも、外を歩く方が気持ちがいい。

山の上での3人の酒盛りがとても楽しい思い出となり、昨年のG野さんの写真展で久しぶりに3人顔をあわせ、檜原村のサンマ祭りに招待するに至った。今年、春先にも新宿で飲み、秋も深まって来たので、再び集って飲むことになった。新宿なら『カブト』に行きましょうかとも話をしていたが、ヨドバシカメラの近くで前は用事を済ませた後よく行った居酒屋『かあさん』に行ってみないかと、G野さんの意見で、最初の一杯を飲みに行くことになった。

↑僕はすでにビール済みで申し訳なかったが、2人は最初の一杯の生ビールでやっとひと心地ついたようだ。お通しのおからと玉子黄身付きつくね。

↑早くも酒飲み3人組は、日本酒にする。各自お好みを選んでとメニューを検討するも、今飲めるのは数本しかなくガッカリ。僕は、長野の真澄。

3人再会の乾杯して、生ビールをぐいっと飲んで(ご免なさい。僕だけ、すでにビール済み)落ち着いてみたら、客は僕らだけで席もガラガラだった。店にはかつての勢いが感じられなくて、カウンターに並べられる自慢のお惣菜、大皿料理も出ていない。前には、なかったらしいお刺身があり、勧められて頼んで来た盛り合わせがあまりにも寂しかった。お酒1杯を飲んだあたりで、G野さんが「申し訳ないここはダメだ」と、早々にお店を出た。

↑牛スジ煮込みは、塩煮込み風でコラーゲンたっぷり。

↑この刺身盛り合せでは、またもやガッカリ。

西口副都心のビル群を結ぶ地下街を行き、ビル地下のそばと酒肴処『わらびや』に入ることにした。席もゆったりと沢山あり、グループで来ても心配ない。置いてある日本酒も焼酎も種類が多く、最後に小腹が減っていれば、そばで〆る事が出来る。ただ、全体に値段が高いことと、小綺麗過ぎるのがなんだか落ち着かない。
そんなことは、3人で飲んでるとおかまいなしになって来るのが不思議だ。その内にG野さんとかみさん2人して、僕の職なし状態に対して意見が集中して来た。いろいろ言われようが、聞いてるしかない。親身に心配してくれる気持ちはわかっているので、返す言葉もなくていたたまれない。次に飲むのは、仕事が見つかった時にしようと激励されても、引きつった顔で笑っているしかない。

↑店を変えたが、飛露喜を徳利1合で1,130円は、ちょっと高すぎる。G野さんの飲む流儀は、日本酒でも水のチェイサーをする。一口、一口の味を大切にしながら、悪酔いしないようにと。僕らもその流儀で。

↑この茄子の漬け物もG野さん所望。僕も好きです。

↑じゃこ天、さっと炙ったもの。これは良いつまみになった。

↑ボリューム感で選んだ、串焼き塩セットは、焼き鳥だった。

会計で、G野さん全部出してくれようとするのをきっちり割り勘でとおつりを渡したら「じゃー、これでもう一杯飲もう」となり、念願の思い出横丁へ向かった。『カブト』は、もう終わっているので、座れるかどうか運を天に任せ『ささもと』に行くと、店の前が騒がしい。狭い横丁の道に、三脚を広げスチールの大きいレンズのカメラをセットして、外国人カメラマンが本気の撮影をしていた。
『ささもと』の煮込み鍋、焼き台を中心にして、徹底的に狙っている。ただ、店は通常に営業しているので、3人だよと、合図すると奥の唯一のテーブルが使えるとのこと。そのテーブルで1人客が、ぽつんと飲んでるのをカウンターの方へ誘導しているので、僕らは、思い出横丁トイレ通りの裏口から入ることにした。
それにしても、ごった返す横丁の狭い通りで図体のでかい外国人カメラマンが黙々と撮影していて、僕ら3人もいるし、通る人の渋滞がおこり、何故かスーツケースを引いて来たおじさんにいわれない文句を僕に言って来る始末。とにかく、2人を引率して『ささもと』の奥の席に腰を落ち着けた。

↑G野さん流、水とチェイサーで飲んでたので、まだ大丈夫、25度の金宮焼酎も味わいながらおいしく飲める。『ささもと』でも、チェイサーの水をお願いできた。

↑料理好きのG野さんには、野菜肉巻きを賞味してほしかった。茗荷の肉巻き。

↑玉葱の肉巻き。

↑えのきの肉巻き。家でこの料理法をするには、豚骨ラーメンのスープを煮込みの汁に変えて出来るぞと、考えつくG野さんだった。ラーメンは、2つの麺にスープ1袋しか使わないのでだいたい余ってるそうだ。なるほど。

料理好きのG野さんに、煮込み鍋の煮汁に野菜肉巻きの串を投入して中まで火を通し、焼き台でぱりっと焼き目をつける『ささもと』流料理法を説明しながら、金宮焼酎を飲み、焼きトンと野菜を楽しんだ。
外国人の撮影は、僕たちが飲んで食べ始めるまで続いていて、僕は後ろ姿だが、2人はしっかり写ってると思う。他の客も含め店全体が、意外に撮られてることに無頓着でいられるのは、外国人のカメラマンで撮った写真が国内で何かに載って目に触れることもないだろうと高をくくっているからか。

↑トマト焼き。この酸味は、口もさっぱりで疲れもとれる気がする。

↑脂っぽくない肉を、と所望なので、赤身とレバねぎ醤油。

↑土曜日は『ささもと』おやじさんが焼き台ではないので、普通のキャベツ。沢山食べてるので、これで充分。

↑お腹いっぱいでも、サービスのスープは別腹。ごちそうさまでした。

5時から飲み始め、すでに11時になろうとしてる。キャベツとサービスのスープまでしっかりいただいて、終わることにしよう。やっぱり、飲食ビルや地下街より、横丁で飲んだ方が、より楽しい。今度は、待たされるかもしれないが、迷わず『カブト』に行きましょうと最初に言おう。ただ、その前に、この3人で飲む時は仕事見つけて復職してないといけないのだが、あぁ、道は険しい。