『ぼくのゾンビ・ライフ』

movie_kid+blues2011-09-29


ジョージ・A・ロメロ監督の古い映画の3部作ゾンビが好きなもんだから、長く自称・ゾンビファンで映画も観続けてきたけど、たまに見つけた本まで買って読んでしまった。ゾンビと名のつく映画に散々裏切られて来たから、まさか今更、ゾンビ小説でこんなに楽しませてもらえるとは思ってなかったし、読み終えたらしっかり感動していた。
「おいおい、このブログは飲んだ、食べたの話と写真だろう」と、チェックを入れられそうだけれど、たまには少し離れて本の話もいいかなと思ったもので。(失職中で、時間を持て余してるとも言えるが)
誰もが、襲われても、銃で撃っても人間から見たゾンビという構図で描いて来たこのジャンルで、全てまるまる一冊の長編小説が、ゾンビの一人称で書かれ、ゾンビになってしまうとどんな状況に陥って、何を思って、悲しんで、怒ったり、欲求したくなるかなどなど、興味の尽きない物語がテンポよく進む。何だか人間みたい、と、思い始めてゾンビは死んで生き返った人間だからと、あらためて思い知らされる。ただし、社会的扱われ方は人間ではなく、生ける屍のなにものでもなく(小説の中でも)動物と同等以下でしかない。
ゾンビは(宿敵の?)人間の肉を食べるが、そこは、従来のモノとは一線を画して数々の料理シーンとシチュエーションが出て来て、センスのよさを感じつつ人肉に宿されたパワーがしっかり物語の展開に意味を持って来るあたりが旨い、ではなく上手い。
今まで、映画で出来なかったことを、斬新に小説で描いているのに映画化決定して製作が始まってるようだ。映画が封切りの際は、誰も付き合ってくれないから1人で観て、ひとり飲みで余韻を楽しめる映画になっているだろうか。しかし、焼きトンなど肉系では、気持ち悪くなるだろな。
それくらいでないと、この小説の骨幹まで迫ることは出来ないだろうと思う。褒めすぎかもしれないが、小説は、かなりいけてますよ。