誰もが、経験した事のない大地震、東北関東を襲う

観測史上誰も経験したことがない揺れに日本人が遭遇した。お気楽な酒飲みブログで書くことでもないが、忘れることのできないことなので少し書いてみる。

地震後、驚いた麹町オフィス街のサラリーマン達が、小さい公園に避難のつもりなのだろうか、続々と出て来た。外に出るのもかなり危険だと思うのだがなあ。
震源地に一番近く大津波の押し寄せた東北太平洋岸は翌日の今日になってもその甚大な被害の全貌が見えてこないほどで、東京も誰もが感じたことがない揺れに恐れおののいた。四谷・麹町の事務所は、ビル10階建ての5階で、耐震構造のためか特に真ん中5階の揺れがひどかったようだ。階段付近の内装のはがれ落ちたところもあった。建物が、致命的なダメージを受けたり、倒壊するまでには至らなかったし、本や書類が散乱したものの怪我をした人間もまわりにはいなかった。作業中の自分のパソコンを必死で支え、倒れたモニターも破損がなく無事でほっと胸をなで下ろしたものの、その手の震えがなかなか治まらなかった。
問題は、広域にわたる交通機関、特に鉄道がすべて止まってしまったので、歩いて帰るぐらいしか方法がなく、遠方の通勤者はもはや帰宅をあきらめ食料調達にコンビニに行くと長蛇の列だったようだ。歩いて帰れない距離ではないし自宅のことも心配で、ペットボトル2本に水を詰め残業もせずに7時過ぎには、外に出て歩き始めた。
道いっぱいにある動かない車の列、歩道にあふれる人の群。だれもが、まさかこんな光景の中で自分が歩いてるとは思ってもみなかったろう。それでも、ライフラインが止まった訳ではなかったので、街は明るく営業してるお店も意外に多かった。
サイクルショップの人の列は、即金で自転車を手に入れようとする人たちで混雑していたり、歩き疲れた人々はレストランで腹ごしらえをしていた。いい飲み屋や赤提灯を見つけるとこちらもひとり飲みの虫が頭をもたげてきた。

↑1時間も歩くと疲れもでてくる。寒い晩だったが、喉も渇いて腹も減って、煮込みとビールをぐいっといきたい所だが、我慢、我慢。

↑まだ、9時にもならない時間に日暮里駅無人の山手線ホームは不気味だった。これで電気が止まって真っ暗になっていたらもっと帰るのに時間がかかっただろう。

家族の安否はついてるものの、無人の自宅が未確認状態だから道草は禁物だ。1時間45分ほどで無事到着したが、食料も調達しなければと自宅近所のスーパーによってみると割れた酒ビンのアルコールの臭いが充満して、店内に「蛍の光」がながれ24時間営業のスーパーも9時そこそこの閉店前の間一髪で、缶ビールと缶詰と少々の野菜類を何とか手に入れた。
恐ろしい東北の被害状況を流すテレビの前で、久しぶりの缶詰の味をかみしめながらビールで流し込んだ。
     ◎
そして翌土曜日、動き出した電車で帰れなかった人たちの帰宅が始まっていた。ニュースは、すさましい被害状況伝え続けていたが、自宅で萎縮していてもなぁ、と思い予定していた映画をやってるなら観ようと渋谷に出かけた。

↑短期間の上映で終わってしまう映画だったので、来てはみたが案の定映画館は休みだった。仕方がないだろうと思ったが、ほかをあたって強引に映画を観てしまったのだが、上映中も余震が続き、後から考えても少々無謀だったかなと思う。

↑もう春だな、と、思わせるほど晴れ渡る青空が眩しい。つい数時間前までは帰宅難民がここ新宿でも大勢押しかけていたのだが。
さすがに映画館は休館していたし、午前中ということもあるが人出はほんとうに少ない。未練がましく、いくつか映画館を回ったが、新宿のシネコンが営業していたので観ることにした。連れのかみさんの所望でクリント・イーストウッド監督の「ヒア・アフター」になった。よりによってこのタイミングでと思うのは、すでにこの映画を観ていたので映画のシーンと今回地震津波の映像とがだぶり、テレビを正視できなかった。
昨日の経験や被害状況の全貌すら見えていない今の現実に、心もひ弱になってしまっていたのか、人の生と死の物語に泣けて泣けてどうしようもなかった。
帰りの電車が心配だったが、映画の後はやっぱり飲みたい。映画館だけでなく、営業していない飲食のお店も多い中、チェーン店など大きなところよりは地元密着型の方がやっているだろうと、最近見直した自分の外飲みの原点的な西荻窪「戎」に行くことにしたら読みはあたり、しっかり営業していた。この前も感じたが、新宿などとは違ったどことなく、のんびりした空気が感じられ、多くない客のひとりが「俺たち、こんな大変な時、飲んでていいのかなぁー」と、ぽつり言っていたのが印象的だった。

↑わざわざ、家から遠い西荻窪まで来てしまったが、結果、オーライ。開いててよかった。

↑やっぱり、甘いのが難点だが、最初に必ず食べたい煮込み豆腐。

↑トビウオ刺身は、春を感じる。

↑平貝とすずきのお刺身。生もの充実も「戎」の強み。安くて旨い。

↑「戎」銘柄の清酒は、燗酒でいただく。平均点の美味しいお酒で、燗でも冷やでもどちらでもいい。5杯までしか飲めないが。

↑さて、焼き物はコブクロ塩焼き。菜の花の海苔和えは、磯の香りがいい。

↑タンもと塩焼き。こってりでサックリの味わい。

↑連れのかみさん、一人でも食べきると宣言してイワシのコロッケ。それとウド酢みそ。

↑中に、鰯がまるまる一尾入のボリーム満点。よく一人で食べる気になるものだ。

↑チレのたれ焼きは、ふわふわの食感。

↑レンコン肉詰めも外せない。それにしても、かみさんよく食うな。

↑つられてもこちらは、まぐろとろろであっさり系。

↑とどめに水餃子。もちろん、かみさんの所望。