「三人飲みブルースだ」と泥酔者が叫んだ

翌日、K西さんは、丸一日フリーだそうで映画小僧おすすめの映画を観て、再び、新宿・思い出横丁『ささもと』で、念願の焼きとんを食べようとの計画が持ち上がった。
どうも、関西圏、特に和歌山では焼きトンのお店がないのだ。焼き鳥はあるのだが、豚のもつ焼き、焼きトンがないのだ。ホルモン焼き(焼き肉)屋でモツは食べるが、串焼き屋がない。ちょっとした食文化の違いだが、もつ焼きが食べれないのはさびしい。だから、行きたかったらしいが、とても一晩だけではそこまで食えない。
しかし日曜でも、こちらが仕事になってしまった。昨夜は、たっぷり飲んだがこのままでは残念なので、夕方『ささもと』には付き合う事にした。必死で仕事を終わらせて電話したら、何だかもうすでに酒が入っているらしい。とにかく、思い出の『ささもと』の前で待ち合わせをしたら、日曜だからか、まだ明るい夕方から満席で待っている人までいた。K西さんと一緒に飲んでいたのが、以前の広告代理店で同僚だったA堀さんだった。3人では、いくら待ってもこの店は無理だから線路側の『きくや』に入る事にした。

↑『きくや』の店舗は、新しいがお店自体は古株だそうだ。

↑ポテトサラダは、やり過ぎのてんこ盛り。

↑さばがあると、夕べあんだけ魚食べたのに我慢が出来ずに。シメサバではなく、さば刺し。

↑K西さん達は、すでに新宿三丁目日本再生酒場い志井で焼きトンを堪能してきたらしい。しかし、焼きトンを渇望していたのかこれも味見につまんでいた。
それにしてもA堀さんが、完全に出来上がっている。広告制作会社の営業畑一筋でひたすら元気がよい人だけに、酔っぱらってしまうと手が付けられない。コピーライターと営業職とで長年同じ釜の飯を食った同士の再会で、A堀さん一人で舞い上がってしまったのだろうが、この時間でこの酔い方は尋常ではない。イメージとは裏腹に、新宿・思い出横丁あたりは、そんな泥酔者がいないものだ。べろべろに酔っぱらっていたりするとお店の方でも入れてくれないし飲ませてもくれないのだ。『カブト』なんかだと、おやじさんに一喝されてしまうだろう。案の定、テーブルにうっつぶせて寝てしまった。

↑この状態で、やっとこちらは飲めて、話が出来るようになった。