クロッシング

movie_kid2010-10-30

ニューヨーク・ブルックリン、3人の警官物語。テレビでも映画でも、脚本書くのにはもってこいの題材で、随分この手の映画もあったなと思う。派手なヒーローものであれ、裏切りや告発など社会性のあるものまで含め、なかなか、魅せてくれるジャンルだ。この『クロッシング』派手な部類には入らないが、観た後で時間がたってからじんわりと良さが沁みてくるタイプのいい映画だった。
三人三様ではあるのだが、共にやり直しも後戻りも出来ない年齢と立ち位置のために、ますます何ともしがたい所に追い込まれて行く。善と悪、光と闇が交差する所でじっくりと人物にスポットを当てる。
あまりにもヘビーな現実に警官としてのプレッシャーも強く、ましてや自分の人生なんてぼろぼろで修復すらかなわない所で、何ともやるせない、いたたまれない気分にされるのだが、それでも人は立ち止まれないで進むしかないのである。
リチャード・ギアが、難しい役柄をこなしきりいつになく良かったが、主演の3人に限らず脇役までもかなり良かった。人が描けて、演技も良かったのだからこの監督の力量が存分に出た秀作だったのだろう。行った事のないブルックリンの街並ですら、そうそう、ここはこんな雰囲気だと思わせるほどの説得力を感じた。