なにがどうあれ『おおはし』に行きたいのだ

movie_kid+blues2010-10-15


週はじめに、飲み友達のIさんに日曜日マラソン大会に誘われ北千住に行くのだけれど午後から飲める店を知らないですか? と、メールをもらった。知っている店は、ことごとく日曜日は休みで、良さそうなお店が日曜日やっているかネットで調べていたら、北千住で行きたい飲み屋ランキング100で、ナンバーワンが『おおはし』だった。皆、やっぱり知っているよね、どんな店が心惹かれるのかを。さて、『おおはし』今年、大きい変化があった。
ずっと土曜日に『おおはし』に行っていた。日替わりで取り揃えるお刺身系を食べたいので、開店早々、売り切れ必至の人気の居酒屋になってしまったからだ。食べたいものを食べて飲んでするには土曜日の夕方、開店と同時入店が恒例だ。映画に行こうが、家でぶらぶらしてようが、仕事していようが土曜日の3時にはもういそいそと北千住に出かけ、ゆっくり銭湯につかり4時30分の開店前の列に加わるパターンがずっと15年以上(途中ブランクが1、2年あったが)続いている。
今年5月の連休前に行ったら「休ませて頂きます」の紙が貼られていた。
今までにも、お祭りだとかで土曜日を休みにしていたのは知っていたが、今回はどうだか知らないまま、次の週も行くと休みだった。どうして、という思いがありながら土曜日に通い続けて一ヶ月以上、4回ふられ続けた。とにかく、平日行かないとどうなっているのかわからんな、と判断して、その頃なかなか早く帰れない週末に意を決して事務所を飛び出し、北千住に向かった。
がらがらと扉を開けると、店内は、相変わらずの満員、4人は飲めずに待っている。
目に飛び込んで来たのは、おやじと息子の二人でしっかりお店を守っている、立ち姿。確かにおやじさんはかなりご高齢だが、病気とかそんな事ではなかったようだ。そこには、相変わらずの『おおはし』の姿があってひと安心。息子が、駆け寄って来て
「来てたの」
「もちろん」
短い受け答えに、とても申し訳なさそうに頭をかいた。
入り口の梁に、土曜、日曜休ませて頂きますと半紙に書いて貼ってあるのを目で追って
「当分、そうなの」
こっくりとうなずき、少し笑った。

↑前は生ビールぐいぐいからだったが、成り行きでここでは金宮焼酎からすぐに始める。肉豆腐には、それがいいのだ。

席につくと、おやじさんは申し訳ないですねとさらりと流しながらいつもの様に、満面の笑みで迎えてくれる。金宮炭酸割を、肉豆腐と共にぐいっとやり、ぐるりカウンターを見渡すとそこは働く男達、おじさん達の仕事を終え一杯やるそれぞれのいい顔が連なっていた。
そうか、わかって来た。
この店は、働く男(もちろん女もだ)達のものとしたんだ。ガイド本片手に来たり、あげくは子供づれで来たりで、随分、客層も土曜日は変わって来ていた。そんな中、僕は変わらず『おおはし』を愛してはいたのだけれど。でも、商売なのにあんだけ詰めかけていた客をみすみす切ってしまうのか? と、疑問が湧いて来た。
そこで、最大の理由はおやじの年齢の問題。おやじさんに無理をさせない、引退させないでそのまま現役続行して行く方針を息子を筆頭に、店全体でそう決めたんではないだろうか。なんとも、全うな商売のやり方ではないか。
前置きが長くなってしまった。ちょっぴり仕事が緩くなって早めに出られる週末は、とにもかくにも『おおはし』に来てしまう訳だ。今日も相変わらず満員だが、すぐに「こっち、こっち」と手招きしてくれ、一人だからすんなりと座れた。
さて、肉豆腐後はお刺身にしよう。



↑息子が、耳元で「むつとすずき、だな」と囁くので、迷わず2品頼む。皮付きのむつが旨い。おやじさんも「お、食べてるな」と反応してくれる。

↑こみこみの金曜なので、刺身と同時に頼んだ銀むつの照り焼き。しっかり味付けされていて、焼酎が進んで進んでどうしようもない。

↑生もの赤貝がまだあるようなので、すかさずこちらも頼む。剥き立てのように貝独特の香りがある、旨い筈だよ。

↑前回の瓶に半分が残っていたが飲みきって、勢いでNEWボトル頼んでしまった。ちょっと飲み過ぎだが、自分の金宮ボトルがこの大量の瓶だなに収まっているのが嬉しいし、次回来た時、さっと出てくるのがまた嬉しい。

↑牡蠣の季節解禁なので、前回、すでにバター焼きを食べたから今日は酢カキにした。関東風で、合わせ酢が醤油仕立てになっていた。

↑さて、〆にはいつもの幸せの黄色いオムレツ。

↑伝票代わりの器の山。きっちり整理、整えながら飲むのが流儀の一つ、正統派の客を自負している。