『大はし』で、飲む事


前回の記述に誤りがありました。
『大はし』の炭酸の値段(90円→130円)以前の値段をそのまま思い込んでいたようです。お詫びして、訂正いたします。
レモンサワーを飲みたい人はレモンを頼み自分で絞ると書きましたが、過去、何度か見かけていたのですが、最近では見ていなかった事に気が付きました。今はやっていないサービスかも知れません。もし、そうでしたら、これもお詫びして、訂正いたします。
以上、お詫びと訂正でした。これだけでは何ですので、引き続き『大はし』のことを書きます。
       ◎
最近では、少なくなったのかもしれないが、飲み屋では“お通し”というものがある。それについて、とやかく語るつもりがないが『大はし』にも“お通し”がある。それが、席料となって加算されているのかどうか知らないし、気にもとめていなかった。
『大はし』の場合、いつもは箸置き程度のほんの小さな器に、一口ぐらいで食べられるものが出るのだが、その日は、海老の頭の素揚げだった。もうかなりの年月、揚げ物を食べていないので(健康のため揚げ物を食べない事を食生活の習慣にしていて)わずか一口でも、これは参ったなと思い、残そうかとさえ思った。
いつものように『大はし』名物の肉豆腐からはじめ、次に刺身類にとりかかる。

↑少しでも仕事に余裕が出ると、夕暮れの明るいうちに行くように心がけている。18時ぐらいが狙い目のようだ。
春のこの季節らしく“初かつお”に、“トリ貝”。
かつおは、土佐造りと但し書きがある通り、皮付きの表面を炙ってポン酢で食べるもので、足の速いトリ貝は、湯通ししているだろうと思っていたが、まったくの生だった。
店内に貼られているメニューの短冊“活・トリ貝”の文字を再確認、まさに“活”の文字通り、生トリ貝は、うまい。焼酎ハイボールがクイクイ進み、たぶんこの金宮焼酎のボトルを飲み切ってしまい、新しいものを入れる事になるだろう。
よくまわりを見てみると“お通し”に海老の頭が出ているのは、ごく限られた客で、大半は、フキの煮物のようだった。ひとり飲みのクセで、再びメニューの短冊を吟味しながら飲んでいると“くるま海老、刺身”が、目にとまる。
「ははっ〜ん、お通しの海老の頭の素揚げは、ひとつの符号なのだろう」と、合点した。(要するに、くるま海老がオススメだと深読みしたのだ)
毎回、できるだけ食べる魚の焼き物(だからこそ、品切れだと落胆してしまうが)本日はシャケの照り焼きで、これを注文した。同時に、エビの刺身もたのんだ。頭が出たのだから、本体を楽しまない手はない。
“くるま海老”の刺身なんてものは、普段、あまり食べる事もないのだが、もちろん、旨い。寿司屋で、くるま海老をにぎってもらい、後で、その海老の頭の素揚げがだされたなんて事を想像するが、その逆パターンだろうと読んだのだ。
刺身を堪能し、そこで“お通し”の海老の頭の素揚げをカリッ、カリッと食べた。
エビの刺身の美味しさに、乗じて禁制の揚げ物に手を出してしまった訳で、油物特有の匂いが、何とも後ろめたい気持ちと共に口の中に広がった。しかし、この香ばしさは久しく味わっていないもので、これはこれで良い事にとしておこうと酔って痺れた頭で考えた。普段食べないものまで、つい手を出してしまったが、“お通し”からはじまって一連の肴の選択にもちょっと変わった流れができた。
この感じも『大はし』で飲む事、のひとつの楽しみで、お気に入りの理由なのだろうと思った。(5月16日飲)