冬の雪上野外飲み、楽しいぞ!

昨年に続き、寒いと思っていたこの冬、とうとう東京でも記録的な積雪となった。今これを書きはじめた時点で、2週連続で45年ぶりに東京で27㎝の積雪になった。滑ったり、転んだりしないように雪かきをしないといけない立場の人には、申し訳ないけれど子供の頃から、雪が降ると嬉しくなるタイプらしく、この2週連続で太平洋岸に襲った爆弾低気圧の積雪にわくわくしてしまった。

↑雪の降り始めた土曜日は、朝から本気降りでみるみる東京を雪景色に変えて行った。上野公園内にあるスターバックスは、ログハウス風なので雪景色にますます馴染んでいる。

最初の東京に雪が降った土曜日も、荒れた天候ながら家に閉じこもっていられなく、近くの公園から歩きはじめ結局、上野公園まで出かけ公園内のスターバックスで吹雪く景色を見ながら、コーヒーを飲み普段とは違う風景を楽しんでいた。
翌日は、晴れると予報が出たのだからここは、今年始めての野外飲みにいかねばならぬと決めて、おつまみ弁当の食材を購入し準備に怠りなかった。
大雪の翌日は、晴天、とまではいかなかったが、曇り空からだんだん晴れて来そうだった。新宿駅から、コーヒーを飲みながら『新宿◯苑』に行くと、すでにこの雪を期待して写真撮影を楽しみに来た人が集まりはじめていた。ここで◯苑などと伏字をした理由は、この公園は酒類持ち込み禁止で、花見の最盛期では手荷物検査までしたぐらいの酒類、ご禁制。近年にない大雪が降って、見事な雪景色を見ることができる状況で、ご禁制といえども雪見酒をしたくなった訳で、広大な敷地の中の片隅で暖をとる程度では問題にされることもあるまい(と、自分で言っているだけだが)。

↑都内でも広さといい、大きい木々の多さといい群を抜くこの『新宿◯苑』は、桜の季節だけではもったいない。年間パスポートを本気て買いたいと思っている。

↑公園の入り口でも、大雪に戸惑っているようだったが、逆にこの雪だからこそ人も来ることをわかっているらしく雪に埋まっている自動の発券機などはあきらめて、とりあえず通れる道を雪かきして人の手で運用していた。

すでにアマチュアカメラマン数人が園内に入っていたが、まだ踏み後も少ない広大な雪景色がこの都会の真ん中で見ることができるなんて信じられない。かつて、数年前にも雪が降って、この公園を訪れたことがあったがその時と比べても今回の雪はレベルが違う。

↑きれいだろうなと思って来てみたのだが、想像以上に美しい雪景色。

↑さまざまな表情で、楽しませてくれる日本の庭園。

↑ベンチもこの通り。

↑池が、完全に凍り付いていた。
とにかく、公園全体を歩いて回ってみよう、まだ午前中だから酒を飲むのも気が引ける。山靴にスパッツを付けて準備万端にして歩きはじめた。

ザックザックと雪を踏みしめる音だけがして、この雪景色のなか本当にどこにいるのかわからなくなってくる。驚いたことに、日本庭園の池が全面に凍りついていた。アスファルトで塞がれた街なかとは、少しは気温も違うのだろうが、それにしても今年は本当に寒い。
広い園内を、ひと回り以上歩いて今日一日で、17,924歩(12,86km)歩き疲れはしたが、楽しく雪を満喫した。
写真を撮ったりしながらも、どこで一杯やろうと探しながら歩いていたのだが、本当はどこでも素晴らしい雪見酒ができるポイントだらけで、だからこそなかなか決めづらかった。やっぱり、ご禁制のことをするのだからと人も少なめの入口から離れた奥の桜の林のひっそりとした場所にする。

↑里芋と椎茸の煮物、菜の花のおひたし、卵焼き、カジキの塩麹焼き、鳥モモ照り焼き、ごぼうの肉きんぴら。そして、芋◯酎のお湯割。

↑見事な大木の桜の木々が集まっているここも今は、青空以外はモノトーンの世界だった。冷え冷えとした風景ながらも、お湯割の効果だけでなく、自然のやさしさが心落ち着かせた。

↑昨年来の“漂泊の野外ひとり飲み”今年の一番目は、とうとう雪見酒となった訳だ。

↑木漏れ日が、雪の表情をまた複雑に見せてくれる。
古木の大きい桜の木が、何本もあるこの場所はもう2カ月ほどすると、満開の桜の花におおわれた絶好の花見の場所なるだろう。今は、シーンとした白と黒のモノトーンの世界で、雪見酒をするのもなかなかのものだ。
ひんやりとする冷気の中で、腹の方からほかほかとお湯割で暖まってくるが、林の中だけに日差しも少なく足下の雪から深々と冷える。さすがに普段の公園飲みの様にゆるゆるとはいかないが、これもまた自然の中にいる証拠だ。
持ち込んだ飲み物食べ物の半分ほど平らげた後、場所を移すとこにした。この公園の一番広々とした芝生の原っぱで、今は一面雪に覆われているところ。午後になり、雲もとれて暖かい日差しが降り注いでいるためか、広場の隅の方で雪が消えつつあり、芝生も乾いている良い場所が見つかった。そこに座り、寝っ転がっても濡れないところで、周り一面の雪景色を楽しむ。何よりここは、日差しも暖かく、歩き疲れた身体を横たえると心地よい眠りに吸い込まれそうになる。

↑やっぱり、野外飲みはゆるゆるとしないとね。

↑少し酔っぱらって、手足を伸ばし寝転がりながらこの雪景色を見てると今日、何度となくつぶやく「ここは、本当に東京か?」と。
さすがに、寝込んでしまうと風邪を引くだろうから、飲み食べ終わったらトイレに行き、帰ろうかなと歩き始めるとなんだか名残惜しくなった。もう少しだけと歩きはじめたら、梅の花が咲いているのを見つけた。
大雪が降ろうが、着実に春は近づいているのだと実感した。(2月9日飲)

↑春の息吹。

↑楽しかった雪の一日の興奮が覚めやらず、新宿三丁目のパブで“バスペールエール”の締めを飲む。やっぱり路上に残る雪を眺めながら。
        ◎
この次の週末も2週連続の大雪が降った。仕事帰りの築地界隈が、吹雪の様相で街がまたすっぽりと雪に覆われてしまった。夜も遅かったため地下鉄の駅に向かうのも、駅から自宅に歩くのもサバイバルだった。

↑一週間後の2度目の大雪が続く土曜日の深夜。恐ろしくなるほどの吹雪く降り方で、電車の運行も気になるところだった。

↑自宅のすぐそばの街路樹の桜が、雪花を咲かせているようになっていた。都内の公園や土手で、桜の古木が今回の雪によって枝が折れたり、根こそぎ倒れたりと被害が出たようだ。義理の両親が住む、奥多摩檜原村も道路が通行止めになり一週間近く孤立状態になったようだ。街中でこれだから、山の方はとんでもないことになっているのだろう。