ジャンゴ〜繋がれざるもの

movie_kid2013-03-09


タランティーノ監督の最新作は、期待どおりのコテコテの西部劇、それもマカロニ・ウエスタンだった。アメリカの奴隷制度の重いテーマと復讐劇を、得意のこってりなテーストで観客を逆なでし、不快感ぎりぎりのところまでいってしまうも、愛するものを奪還する物語で映画が弾けた。
いくぶん長い上映時間にぐったりするむきもあるが、俳優の見事な演技の共演と演出によって、その中身の濃さと決してタブーに絡めとれれず今の時代にだから到達したアメリカ映画としての表現に圧倒され満喫した。愛するものを救った後は、案外あっさりとした印象なのもタランティーノ監督の貫禄だろう。
タランティーノ映画には、ファンのひいき目を通り越して観る前も観た後も浮き足立ってしまいがちで、後日2度目は冷静に落ち着きながら観れたが、やっぱりいいなと唸らせた。ついでに、DVDで元ネタのマカロニウエスタン『ジャンゴ』(邦題は、続・荒野の用心棒)をチェックしたらテーマの歌はもちろん、タイトルのデザインもろもろがまったく同じでオマージュを捧げるのも半端でなかった。イタリア語の西部劇の粘り着く感じを、英語の西部劇で良く出していたなと逆にタランティーノ監督が上っ面の真似でないところも痛感した。