思い出横丁『カブト』生から焼き上げる堅エリ、マル塩に魅せられて


先週、自由が丘でウナギの串焼き屋を見つけ食べて飲んだら、ひいきの思い出横丁『カブト』に行きたくなった。圧力鍋で蒸して、骨を柔らかくしたのでなく、生から焼き上げるウナギのエリとマルを食べたくなったのだ。昨夜、焼きトンを外で食べ飲みしたばかりだが、酒を飲むのを週末と休日に限定しているので土曜日をのがし、このまま来週まで我慢したくない。今までも1人では平日に飲まないようにしていたし、休職中の仕事もしないで、平日に酒飲んでいてはきまりは悪い。では、土曜日ならいいのかと言われたら、何も言えないが、好きなものをまったく取り上げられたら人生真っ暗ではないか。

↑左の道反対側のそば屋さんが、大人気だった。そば屋さんに待ちの行列ができていて驚いた。

コストダウンの生活を目指しながらも、ほどほどのお楽しみで生活はしていたい。だから、本日は、映画を観てカブトに行く幸せの土曜日とすることにした。
天気は、夕べから下り坂で雨の一日と思いきや、午後からは雨もやみ晴れ間も出て来た。新宿三丁目シネコンで映画を観て、思い出横丁の中通りを店の前まで来たら、決まりにしてる本日の『カブト』写真を撮ると、焼いてるのがおやじさんではなく、娘さんだった。
通り側の椅子が空いていたので、座ろうとしたが、奥の席も空いているようだ。店のI東さんが「2人でなきゃ、ダメよ」と、毎度の挨拶で、かみさんと来なさいとの意味で言っている。それではと、奥まで行って「すみません。一人なんですよ」といいながら、一番奥の店内を見渡せるいい席についた。
常連のお客さんは、何となく、おやじさんが焼いていないと気になるようだ。法事でお休みだそうで、年配の客は、法事なら仕方ないねとすぐになっとくしていた。
お目当ての堅エリ(カブトでは、生から焼くエリをそう呼んでいる)歯に自信がない今は、骨を出しながら食べるのだが、持参のティッシュに出してるとI東さんは、ちゃんと新しい広告のティッシュをくれる。やさしいのだ。

↑さすがに夕方4時をすぎて、レバ串が最後の段階だった。

山椒も、カウンターに常備のでなく、スペシャルな山椒をふってくれた。香りがまったく違うので、うれしい反面、I東さんの個人的サービスで皆に行き渡らないからおおっぴらには喜べない。自分で奮発して高い山椒を持参して来た客も前に見たことがあるが、気持ちはわかる。ただ、店主のおやじさんの目の前では、しない方がいいとも思うので、ほどほどにといったところだろうか。

↑この丸のブツ切りを切り広げたのが、堅エリ。堅エリの塩焼きもうまいが、丸は中が蒸されほっくりした食感がいい。好きずきだけどね。

レバ串も含まれた7本セットの後に、マル塩を追加する。これは、ウナギの胸びれもついた首の部分の生のぶつ切りを焼き上げるのだから、手間も時間もかかる。炭火の力が絶大なのだが、外側はぱりっとして中がほっくりと火が通り、焼いたウナギの旨味がつまっている。塩焼きにすることで、ウナギの旨味を純粋に味わえるし、蒲焼きとはまた違ったゼラチン質の骨との間のところがたまりません。
芋焼酎は、2杯止まりにしてちょうど良い酔い加減だった。やっぱり『カブト』は、旨いなと満足感にひたりながら思い出横丁を後にした。

↑西口側、思い出横丁の入り口。帰り際は、ちょっぴり物悲しくて、一気に横丁の通り抜けて行く感覚がいい。