『カブト』のその後

2カ月ほど前に、新宿・思い出横丁の『カブト』の変化を書いた。内状を良く知っているとかでなく、単に時々食べ飲みに行く客の目に写ったことを報告したものだ。だだ、長く店でお世話になったIさんとの別れでもあり、驚きと寂しさなんかもあって少々複雑な気持ちだった。その後、Iさんが入院したことも知りまたまた驚いてしまったが、早く自宅で療養できるほどに回復を祈るだけだ。

↑早い梅雨明けの猛暑のあと少し暑さも落ち着いた感がありつつも、8月に入ったばかり。これから暑さが本番だから、うなぎで身体にも、心にも憩いとパワーをつけなきゃ、ね。
7月に入り、自分の仕事の方も忙しくまったく土曜日も休めなかったので『カブト』にも来れなかった。一度、土用丑の日と2日前なのに勘違いした土曜日、仕事も早々に終わらせて、うなぎを食べたい一心で駆けつけた。本当は、週明けの月曜日が丑の日だと店に来て聞いてわかったが、それでも、普段よりは1.5倍のお客さんの入りだそうで、自分以外にも同じような気分屋がいてホッとした。
それより胸をなでおろしたのが、退職して入院したIさんの病状が少し良くなったそうだと聞けたことだ。店に、Iさんがいないのは寂しいかぎりだが、数年前から店に来てる若い衆とおやじさんのお孫さんが本格的に店にいるようなので、それなりの若返りも感じられる。

↑まだ、夕方とも言えない15時すぎで、レバ串には充分まにあった。というか、狙って早く来たんだよね。
8月にはいって、少し時間の余裕ができた。久しぶりに土曜日に映画を観て、そうなると『カブト』で昼酒もやりたい。店に入るなり、おやじさんに「夏休みは、どれくらいとれるのかい」と聞かれた。印刷会社と同じようなもので制作物にかかわった末端で仕事しているとみんなが休みの時にこそより忙しくなるという悲しき現実があり、夏休みはないのですと返答する自分が情けない。
馴染みの客から「おやじさんもそろそろ引退じゃないの」と横やりを入れられて、まったくだといいつつ自分のタイプは、やっぱり最後までやり続けないとダメだろうなと言っていたのが印象的だった。

↑7本セットの一通りと、うなぎの首まわりのまるのままの塩焼き、マル塩は追加で。追加は、2本セットがお約束。
そう言えば、今日の今の時間は、新人の孫と二人だけのシフトのようだ。はじめて2カ月にしては、なかなか堂に入っているし、なにより、屈託のない笑顔で接客できているのがいい。別に、よいしょするつもりもないのだが、おやじさんに通じる明るさや強さを感じる。年内には、一気に焼き台までまかされるようになるかもしれない。とか、言ったら、そんな甘いものじゃないと一喝されそうだが、後から中に入って来た娘さんも含め親子三代は、強烈なダッグだ。
阿吽の呼吸のIさんが退職して、新人も入りおやじさんもかなり困惑していた様子もちらちらと見えたが、早くもその成長が楽しみになって来た。おやじさんの仕込みっぷりに、すこし目が離せない。(8月3日 飲)